ナス
Eggplantナス科。「ナスは水で育つ」と言われます。これがこの野菜のすべてです。
水が足りないと、まず実のつやが消えます。そのあと硬くなり、ハダニが来ます。トマトが乾燥を好むのとは正反対で、同じナス科でも水のやり方が真逆です。隣に植えて同じように扱うと、どちらかが失敗します。
もうひとつの特徴が、栽培期間が長いこと。初夏から秋まで穫り続けます。そのぶん、途中で肥料と水が切れると株が疲れて実がつかなくなります。植えて終わりではなく、追肥と水やりを続ける野菜です。
そして夏の盛りに株が疲れてきたら、思いきって枝を切り戻す。そうすると秋にまた穫れます。これが「秋ナス」です。
栽培のめやす
- 発芽適温
- 25〜30℃
- 発芽日数
- 5〜7日
- 生育適温
- 20〜28℃
- 土壌 pH
- 6〜6.5
- 株間・条間
- 50cm
- 畝幅・畝間
- 60cm
- まき深さ
- 5mm
- 連作の間隔
- 3〜4 年
- 植えつけの目安
-
本葉7〜8枚展開し、1番花の蕾がふくらんで紫色に着色し始めたころ
種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。
育て方
上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。
-
土をつくる
- pH を 6.0〜6.5 に合わせる
- ナス科を 3〜4 年作っていない場所を選ぶ
- 幅 60〜70cm・高さ 15cm の畝を立てる。排水が悪ければもう少し高く
- 耕土が深く、水もちのよい畑が向きます
- 完熟堆肥を 3kg 以上、1 ㎡あたり。植えつけの 1 か月前に深く耕して混ぜる
- 元肥は厚めに。 トマトとは逆で、ナスは肥料を好み、栽培期間も長いので、少ないと途中で切れます
- 植えつけの 1 週間ほど前にマルチを張って地温を上げておく。シルバーラインの入った黒マルチだとアブラムシも減ります
-
植える
- 本葉 7〜8 枚。1 番花のつぼみがふくらんで紫色になりかけたころに植える
- 株間 50cm 以上
- 根鉢が畝の面より 2〜3cm 高くなるよう、浅く植える
- 接ぎ木苗は、接いだところを土に埋めない
つぼみの小さい若い苗を植えると、葉ばかり茂って実がつきません。逆に 1 番花が咲き終わった苗は、根づきが悪くなります。つぼみの色が目安です。
-
ネットで覆う
- 植えつけ直後に、目合い 0.8mm の防虫ネットをかけ、銀色のマルチを張る
- ウイルス病(モザイク病)を運ぶアブラムシとコナジラミを入れないためです
- ウイルス病の対策は、ほとんどここで決まります
- 枝が張って覆い続けられなくなったら、株を見て回るほうへ切り替える
-
3 本仕立てにする
3 本仕立てにする
ナスは主枝 1 本と、1 番花のすぐ下から出る枝 2 本の、合わせて 3 本で育てます。それより下から出るわき芽は、小さいうちに全部取ります。
残す 3 本と、取るわき芽まんなかの主枝と、1 番花のすぐ下から左右に出た枝 2 本。この 3 本だけを伸ばします。
株元の切り跡が、取ったわき芽のあとです。小さいうちに手で摘めば、跡も残りません。手順1. 1 番花が咲くのを待つ2. そのすぐ下から出ている枝のうち、勢いのよい 2 本を残す3. 残した 2 本と主枝で、合わせて 3 本4. それより下のわき芽は全部取る5. 3 本それぞれに支柱を立てて結ぶ下のわき芽を残すと、株の内側が込んで日が入らなくなり、実がつかなくなります。小さいうちに手で摘んでください。- 1 番花が咲いたら、その花のすぐ下から出る勢いのよい枝を 2 本残す
- その 2 本と主枝で、合わせて 3 本
- それより下から出るわき芽は、小さいうちに全部取る
- 手で折る。 ハサミを使い回すと、株から株へウイルス病を運びます
- 3 本それぞれに支柱を立てて誘引する
-
水を切らさない
- この野菜でいちばん大事な作業です
- 乾くと実のつやが消え、硬くなり、ハダニを呼びます
- 梅雨明け前に敷きわらか刈り草を敷いて、土の乾きをゆるめる
- 夏は毎日見てください
-
追肥を続ける
- 実がつき始めたら、定期的に足す
- 栽培期間が長いので、切らすと株が疲れて実がつかなくなります
- 葉の色が薄くなってきたら足す合図
-
枝を整理する
- 内側が込んできたら、細い枝を間引いて風と日を通す
- 実を穫るときに、その枝を切り戻しておくと次の芽が出ます
-
切り戻して秋に備える
- 夏に株が疲れて、実が小さくなったり曲がったりしてきたら
- 各枝を半分くらいの長さに切り戻す。強い芽を残して切ります
- 切ったあとに追肥と水をたっぷり。刈り草や敷きわらを足す
- 半月ほどで力のある花が咲き、1 か月後から秋の収穫が始まります
- 収穫を切らしたくなければ、株の半分ずつ時期をずらして切る
-
穫る
- 中長種で 10〜12cm。若いうちに、早め早めに穫る
- 1 番果はとくに早く、10cm くらいで穫る。 大きくすると株が疲れて、そのあとが続きません
- 穫り遅れると株が疲れて、次の実がつきにくくなります
ここだけは押さえたい
1. 水を切らさない
「ナスは水で育つ」。トマトとは正反対です。乾くと実のつやが消え、硬くなり、ハダニが来ます。敷きわらで土の乾きをゆるめ、夏は毎日見てください。
2. 苗はつぼみの色で選ぶ
1 番花のつぼみがふくらんで紫色になりかけたころが植えどきです。若すぎる苗は葉ばかり茂り、咲き終わった苗は根づきません。
3. 浅く植える
根鉢が畝の面より 2〜3cm 高くなるくらいに。深植えすると育ちが悪くなります。
4. 3 本仕立てにする
1 番花のすぐ下の枝を 2 本残して、主枝と合わせて 3 本。それより下のわき芽は全部取ります。
5. 追肥を切らさない
初夏から秋まで穫り続ける野菜です。途中で肥料が切れると、そこで終わります。葉の色が薄くなったら足してください。
6. 夏に切り戻すと秋にまた穫れる
株が疲れて実が小さくなってきたら、枝を半分くらいに切り戻します。切ったあとに追肥と水をたっぷり。半月で花が咲き、1 か月後から秋ナスが穫れます。思いきって切るのがコツです。
7. 早めに穫る
大きくしすぎると株が疲れます。若いうちに穫るほうが、結果的にたくさん穫れます。
農薬を使わないと、ここが難しい
うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。
- ハダニ — 乾燥すると来ます。水を切らさないこと、葉の裏に水をかけることで減らせますが、雨の当たらない場所では手がかかります(→ハダニ類)
- ウイルス病(モザイク病) — アブラムシが運びます。植えつけ直後に目合い 0.8mm の防虫ネットをかけ、銀色のマルチを張る。この病気の対策は、ほとんどここで決まります。 あわせて、わき芽かきは手で折ること(ハサミの刃でも運ばれます)。出てから無農薬で治す手はありません。 出た株は抜いて畑の外へ(→モザイク病)
- アブラムシとコナジラミ — 上の防虫ネットと銀色のマルチで飛来を減らせますが、全部は止まりません(→アブラムシ類)
- 半身萎凋病・青枯病 — 土から来て、出た株は枯れます。治す手はありません。接ぎ木苗と輪作が現実的な対処です
- うどんこ病・灰色かび病 — 枝を整理して風を通すのが基本です。詳しい手順は病害虫ページへ(→うどんこ病 灰色かび病)
よくある質問
実につやがなくて、硬いです。
水不足です。「ナスは水で育つ」と言われるとおり、この野菜は水をよく吸います。足りないと実のつやが消えて、皮が硬くなり、そのあとハダニが来ます。梅雨明け前に敷きわらを敷いて土の乾きをゆるめ、夏は毎日見てください。
トマトと同じ水やりでいいですか?
いけません。正反対です。トマトは乾燥気味がよく、雨よけまでして水を減らします。ナスは逆で、水を切らすと実が穫れなくなります。隣に植えて同じように扱うと、どちらかが失敗します。
花は咲くのに実がつきません。
肥料が足りていないか、水が足りていないかのどちらかが多いです。ナスは栽培期間が長いので、途中で切れると株が疲れて実をつけなくなります。葉の色が薄くなっていたら追肥してください。
苗が若すぎるときに植えた場合も、葉ばかり茂って実がつきません。
わき芽はどこまで取ればいいですか?
1 番花より下から出るわき芽は、全部取ります。 残す枝は、1 番花のすぐ下から出る勢いのよい 2 本だけ。それと主枝で、合わせて 3 本です。下のわき芽を残すと株の内側が込んで日が入らず、実がつかなくなります。
秋ナスを穫るにはどうすればいいですか?
夏に切り戻しをします。株が疲れて実が小さくなったり曲がったりしてきたら、枝を半分くらいの長さに切ってください。強い芽を残して切ります。切ったあとに追肥と水をたっぷりやり、刈り草や敷きわらを足します。半月ほどで花が咲き、1 か月後から穫れ始めます。
収穫を切らしたくなければ、株の半分ずつ時期をずらして切ってください。
接ぎ木苗を使ったほうがいいですか?
同じ場所でナス科を作ってきた畑なら、使ったほうが安心です。土から来る病気(半身萎凋病・青枯病)は出ると株が枯れ、治す手がありません。植えるときは、接いだところを土に埋めないでください。
いつ穫ればいいですか?
中長種で 10〜12cm、若いうちに穫ります。とくに 1 番果は 10cm くらいで早めに。大きくすると株が疲れて、そのあとが続きません。早め早めに穫るほうが、結果的にたくさん穫れます。