裂果・裂根・裂球
別の呼び方: 裂果
トマトやナスの実が裂ける、カブの根にひびが入る、キャベツの球が割れる。呼び名は違いますが、起きていることはほぼ同じです。中身が外側の皮より速く大きくなって、皮が追いつけずに裂ける。
病気ではないので、まわりへ移りません。味も落ちません。けれど割れ目から雨が入れば、そこから腐ります。保存もききません。せっかく採りごろまで育てたものが、ひと晩の雨で台無しになる。これが悔しい相手です。
原因はほとんどの場合ふたつに絞れます。土の水分が急に変わったことと、採りごろを過ぎたこと。どちらも手の打ちようがあります。
見分け方
- トマト — 実の肩やヘタのまわりに、放射状または輪のように皮が裂ける。色づき始めてから出ます
- ナス — 実が縦に裂ける
- カブ — 根の中ほど、または葉の付け根(肩)にひび割れが入る。生育の後期に多い。肥料が多すぎるときは肩が割れます
- キャベツ — 外側の葉が裂ける。内側から新しい葉が出て押し広げるので、採り遅れると中から破れます
- 共通して、割れ目の内側は健全です。腐っていれば、割れたあとに菌が入ったものです
- カビも虫の食い跡もありません
出やすい条件
- 乾いた日が続いたあとに、まとまった雨が降ったとき。 これがいちばん多い。根が急に水を吸い上げて、中身だけが膨らみます
- 採りごろを過ぎたとき。 キャベツは球が締まってから置くほど、カブは太ってから置くほど割れます
- 気温が上がる時期の収穫(キャベツの春〜初夏どり)
- 肥料が効きすぎているとき。とくに結球や肥大が始まってからの追肥(キャベツ・カブ)
- 生育の初めに乾かして、後半に急に太らせたとき。初期の乾燥で皮が硬くなってしまい、あとから伸びられません(カブ)
- 日に当たって実の温度が上がったあと、急に冷えたとき(トマト)
出さないために
- 土の水分を上下させない。 マルチか敷きわらで土を覆って、乾きと湿りの波を小さくします。これがいちばん効きます
- 雨よけを張る。 トマトは、これだけで出方がはっきり変わります。採りごろの実が残っているときの大雨が、いちばん危ない
- 締まったものから順に採る。 キャベツは全部をそろえて収穫しようとせず、球を押して固くなったものから採ってください。カブも太りすぎる前に抜く
- 肥大・結球が始まってからの追肥をやめる。 終盤に効かせると、中身だけが先に膨らみます
- 初めから順調に育てる。 前半に乾かして止めてしまうと、後半に伸びられない体になります。序盤の水と肥料を切らさないでください
- 採りごろの前に天気を見る。 まとまった雨の予報が出たら、採れるものは先に採ってしまうのが確実です
出てしまったら
- 割れた実・割れた球は、早めに採って早めに食べてください。味は落ちていません。置くと割れ目から腐ります
- 雨に当たり続けると割れ目が広がります。採るのを待たない
- 株そのものは健全です。抜く必要はありません。あとから着く実や、まだ小さい株は正常に育ちます
- いまやることは、敷きわらと追肥を止めることです。 次に採るぶんから変わります
- 腐り始めたものは畑の外へ。放っておくと灰色かび病などを呼びます
まちがえやすいもの
- 尻腐れ果(カルシウム欠乏) — 実の先が黒くへこみます。裂けるのではなく、へこんで乾きます
- 日焼け — 日の当たる面が白く抜けて、皮がなめし革のようになります。割れではありません
- オオタバコガ・アワノメイガ — 丸い穴があき、まわりにフンがあります。裂果に穴とフンはありません
- 裂根と岐根(また根) — 股に分かれるのは、未熟な堆肥や石に当たったか、センチュウです。裂根は割れるだけで、形は崩れません
よくある質問
雨のあとにトマトが一斉に割れました。
乾いていた土が急に水を吸って、中身だけが膨らんだためです。病気ではないので、割れた実は早めに採って食べてください。来年に向けては、雨よけを張るか、株元に敷きわらをして土の水分を安定させてください。まとまった雨の予報が出たら、色づいた実を先に採ってしまうのも有効です。
キャベツが割れました。食べられますか?
食べられます。味も落ちていません。ただし割れ目から傷むので、早めに使ってください。キャベツは内側から新しい葉を出して球を押し広げるので、採り遅れると必ず割れます。球を押して固くなったものから順に採ってください。
カブの肩が割れます。水が原因ですか?
肩が割れるときは、肥料が多すぎることが多いです。水の急変もありますが、まず施肥を見直してください。また、生育の初めに乾かして皮を硬くしてしまうと、後半に伸びられず割れます。はじめから順調に太らせるのが答えです。
割れないようにするには、水をやらないほうがいいですか?
逆です。やらないでおいて、雨で一度に吸わせるのがいちばん悪い。少しずつでも切らさず、敷きわらやマルチで水分の波を小さくしてください。ねらいは「乾かさないこと」ではなく「急に変えないこと」です。