着果不良・成り疲れ
別の呼び方: 低温期の着果不良、つやなし果
実がつかない、ついても落ちる、ついても太らない。ナスとピーマンに出ます。
病気でも虫でもありません。株の勢い(草勢)が、実を持つ力に足りていないだけです。だから次の四つは、すべて同じ話としてこのページにまとめます。
- 植えつけ直後に実がつかない — まだ寒くて、株が動いていない
- 収穫の盛りに花が落ちる、めしべの短い花が増える — 実を持ちすぎて、株が疲れている
- 夏に勢いが落ちて、実の形が悪くなる — 成り疲れ
- 皮にツヤが無く、硬い実になる — 水が切れて株が弱っている
ナスもピーマンも、春から秋まで半年近く実を採り続ける野菜です。途中で株が疲れるのは当たり前で、疲れさせない工夫と、疲れたときに戻す工夫が栽培そのものになります。ここがわかると、収穫の量がはっきり変わります。
見分け方
- 花は咲くのに、実にならずにぽろぽろ落ちる
- めしべが、おしべより短い花が増える(ピーマン)。正常な花はめしべが長く突き出ています。短い花は実になりません
- 花が、株の先端近くにばかり咲く。株が小さいまま花を急ぐのは、弱っているしるしです
- 実の形が悪い、小さいまま止まる
- 皮にツヤが無く、硬い実になる(ナス)。これは水切れのしるしです
- 葉の色が薄く、新しい葉が小さい。あるいは逆に、葉ばかり茂って花が少ない(こちらは肥料のやりすぎです)
出やすい条件
- 植えつけ直後の、まだ夜が冷えるころ。 夜の気温が低いと受粉がうまくいかず、実になりません
- 収穫の盛り。 実を持ちすぎると、株が次の花に力を回せなくなります
- 梅雨が明けてからの、暑くて乾いた時期。 ナスの成り疲れはここで来ます
- 土が乾いたとき。ナスは水を切らすと、すぐツヤが無くなります
- 追肥の間隔があいたとき
- 逆に、窒素を効かせすぎたとき。葉ばかり茂って花が落ちます
出さないために
- 植えつけを急がない。 最低気温が 10℃、地温が 15℃ を超えてから植えてください。寒いうちに植えても止まったままで、かえって遅れます。植えたあとは風よけを立ててください
- 若いうちに採る。 これがいちばん効きます。大きくしてから採ると、その 1 個に株が力を使いきってしまいます。早採りした実の数だけ、次の花が咲きます
- 余分な実を落とす。 一度に持たせすぎない。小さいうちに摘んでおくと、株が続きます
- 追肥の間隔を詰める。 収穫が始まったら、少しずつこまめに。間をあけて一度に効かせるより、切らさないほうが大事です
- 敷きわらとマルチで、土を乾かさない。 ナスのツヤは水で決まります。乾いたら畝間に水を流すか、株元にたっぷりやってください
- 窒素を効かせすぎない。 葉ばかり茂って花が落ちるときは、むしろ減らします
出てしまったら
- ナスは、夏に切り戻して株を作り直す。 枝を 3 分の 1 ほどに切り詰め、同時に株のまわり 30cm ほどのところにスコップを入れて根を切ります。そのうえで追肥と水をたっぷり与えてください。ひと月ほどで新しい枝が伸びて、秋にもう一度採れます。これが更新剪定です
- ピーマンは、短い花が増えたら実を減らす。 いま付いている実を若いうちに採って、株の負担を軽くします。追肥の間隔も詰めてください
- 水切れでツヤが無いなら、敷きわらを足して水をやってください。次に採る実から戻ります
- すでに悪くなった実は戻りません。 ただし食べられます。硬いナスは、煮物や炒め物に向きます
- 寒くて実が止まっているときは、待つのが正解です。暖かくなれば動きます
まちがえやすいもの
- アザミウマ類 — 花が早く枯れて落ちます。花びらや葉に白いかすり傷があればこちらです
- カルシウム欠乏(尻腐れ果) — 実の先が黒くへこみます。着いた実の問題で、着かない話ではありません
- モザイク病(ウイルス病) — 葉がまだらに縮れます。着果不良に、葉のまだらはありません
- 青枯病 — 株がしおれて枯れます。成り疲れはしおれません
- 日照不足 — 曇りが続くと花が落ちます。天気が戻れば戻るので、手を入れる必要はありません
よくある質問
花は咲くのに、実にならずに落ちます。
めしべを見てください。おしべより短い花が増えていれば、株が疲れています。いま付いている実を若いうちに採って、負担を軽くしてください。あわせて追肥の間隔を詰めます。植えつけ直後でまだ夜が冷えるなら、そちらは待てば動きます。
ナスの皮にツヤが無く、硬くなりました。
水切れです。ナスのツヤは水で決まります。敷きわらを足して、畝間に水を流すか株元にたっぷりやってください。次に採る実から戻ります。硬くなった実も、煮物や炒め物なら十分おいしく食べられます。
夏に勢いが落ちました。秋まで採れますか?
採れます。枝を 3 分の 1 ほどに切り詰めて、同時に株のまわり 30cm のところにスコップを入れて根を切ってください。そのうえで追肥と水をたっぷり。ひと月ほどで新しい枝が伸びて、秋にもう一度採れます。枝だけ切っても戻りません。根を切って新しい根を出させるところまでが手順です。
葉ばかり茂って、花が少ないです。
肥料、とくに窒素が効きすぎています。追肥を一度止めて様子を見てください。この場合は、足すのではなく減らすのが正解です。実がつかない原因は「足りない」と「多すぎる」の両方があるので、葉の茂り具合で見分けてください。