ROOT · ヤマノイモ科

ジネンジョ

Japanese Mountain Yam

ヤマノイモ科のつる性多年草。日本の山に自生しているものを、畑で作れるようにしたものです。

ほかの野菜とまったく違う点が 2 つあります。

ひとつは 掘れないこと。自然薯は土の中をまっすぐ 1m 近く伸びます。そのまま畑で作ると、石や固い層に当たって曲がり、折らずに掘り出すのはまず無理です。だから家庭菜園では、パイプや波板を斜めに埋めて、その中を通らせます。これが自然薯栽培のほぼすべてです。

もうひとつは パイプの中に肥料を入れないこと。自然薯は地表近くの根から養分を吸い、芋から出た根は吸いません。パイプの中に肥料分があると、芋の品質が落ちます。中は山土や川砂のような、やせた土で満たす。表面だけ肥沃にする二層構造にします。

ここを外すと、半年かけて掘れない芋か、質の悪い芋ができます。手順の意味を知らないまま真似すると失敗しやすい野菜です。

難易度
旬 秋冬
ジネンジョ(ヤマノイモ科) — イメージ

写真はイメージです(生成画像)。Sofarm の圃場写真は準備中です。

栽培のめやす

発芽適温
15〜25℃
発芽日数
30〜40日
生育適温
15〜30℃
土壌 pH
6〜7
株間・条間
25〜30cm
まき深さ
5cm
連作の間隔
3〜4 年
植えつけの目安

十分暖かくなって葉桜になったころ

種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。

いつ植えて、いつ収穫する?

作型
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
クレバーパイプ栽培
▼ ▼
普通栽培
▼ ▼
まきどき
▼▼ 植えつけ期
育成(推定)
収穫期

線は旬(上旬・中旬・下旬)単位です。線にカーソルを置くと、資料の期間表記・区分名・出典が出ます。 「育成」は定植から収穫までの間を埋めた推定で、資料に書かれた値ではありません。

育て方

上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。

  1. 資材を決める

    • クレバーパイプ(専用品)、波板、雨どい状に丸めた薄板のどれか
    • 家庭菜園では波板が手に入りやすく、費用も抑えられます
    • 資材を使わないと、まっすぐな芋は穫れません
  2. 溝を掘って資材を埋める

    • 深さ 30〜40cm の溝を掘る
    • 資材を 10〜30 度の傾きで斜めに置く。先が深くなる向きです
    • 資材の中を、肥料の入っていない土(山土・真砂土・川砂)で満たす
    • 受け口(芋が入る入口)の真上に、目印の棒を立てておく
  3. 種芋を置く

    資材の受け口に、芽の出る側を合わせる

    この野菜はここだけです。芽の出る側が受け口からずれると、新しい芋が資材に入らず、曲がって掘れない芋になります。

    深さ 30〜40cm の溝を掘り、資材を 10〜30 度の傾きで斜めに置きます。先が深くなる向きです。
    斜めに埋めた波板の浅いほうの端が受け口。その上に種芋を横に寝かせ、芽の出る側を地表の目印の棒に合わせる。波板の中はまわりより明るい色の、肥料の入っていない土で満たす
    受け口の上に 5cm 覆土して種芋を横に寝かせ、芽の出る側(発芽点)を目印の棒に合わせて、さらに 5cm 覆土します。株間は 25〜30cm。
    資材を使う理由
    ・資材を使わないと、まっすぐな芋は穫れません
    ・家庭菜園では波板が手に入りやすく、費用も抑えられます。クレバーパイプ(専用品)や、雨どい状に丸めた薄板でもかまいません
    ・資材の中には肥料を入れない。自然薯は地表近くの根から養分を吸います
    肥料は畝の表面にだけ入れます。酸性が強い畑なら、石灰も表層にだけ。
    そのあと気をつけること
    ・芽が出るまで 1 か月以上かかります。掘り返さないでください
    ・何本も芽が出たら、いちばん元気な 1 本を残して、残りは土の中で折る。1 本に絞らないと芋が太りません
    ・黒マルチを張る。雨水が入りすぎて芋が曲がるのを防げます。目印の棒の位置に切り込みを入れておく
    • 受け口の上に 5cm 覆土し、そこへ種芋を横に寝かせる
    • 種芋の芽が出る側(発芽点)を、目印の棒に合わせる
    • さらに 5cm 覆土する
    • 株間 25〜30cm

    発芽点を合わせないと、新しい芋が資材に入りません。 入らなければ、曲がって掘れない芋になります。この一手がこの野菜で最も大事です。

  4. 表面だけ肥沃にする

    • 畝の表面に肥料を入れる。資材の中には入れない
    • 自然薯は地表近くの根から養分を吸います
    • 酸性が強い畑なら、表層にだけ石灰を入れる
    • 黒マルチを張る。 地温が上がり雑草も減るほか、雨水が入りすぎて芋が曲がるのを防げます。目印の棒の位置に切り込みを入れておく
  5. 芽かきをする

    • 1 つの種芋から何本も芽が出たら、いちばん元気な 1 本を残して、残りは土の中で折る
    • 1 本に絞らないと芋が太りません
  6. 支柱とネットを立てる

    • 植えたあとすぐ、2m 前後の支柱を立ててネットを張る
    • つるを上へ誘引する

    つるを垂れ下がらせないでください。 垂れるとむかご(葉のつけ根につく小さな芋)ができて、そちらに養分が回り、地下の芋が太りません。

  7. 追肥する

    • 梅雨明けのころ、株元か株の 30cm ほど横に有機質肥料を足す
    • 資材の中ではなく、表面に置く
  8. 夏は乾かさない

    • 高温多湿を好みます
    • 梅雨が明けて雨が降らない日が続くと、葉にハダニ類が出ます。敷きわらで土の乾きをゆるめ、葉の裏に水をかけてください
  9. 穫る

    • つるが完全に枯れて、さらに 2 週間以上おいてから。 早掘りすると切り口やすりおろしが褐色に変わります
    • 資材ごと掘り出して、受け口から芋を引き出す
    • 資材を使っていれば折らずに取れます

ここだけは押さえたい

1. 資材を使う
パイプか波板を斜めに埋めて、その中を通らせます。これをやらないと、曲がって折れる芋になります。自然薯栽培はこの一点に尽きます。

2. 資材の中には肥料を入れない
山土や川砂のようなやせた土で満たしてください。中に肥料分があると芋の品質が落ちます。肥料は畝の表面だけです。

3. 発芽点を受け口に合わせる
種芋の芽が出る側を、資材の入口の真上に置きます。ずれると新しい芋が資材に入らず、掘れなくなります。目印の棒を立てておくと確実です。

4. 支柱は 2m。つるを垂らさない
垂れるとむかごができて、芋が太りません。上へ誘引してください。

5. 芽が出るまで 1 か月以上かかる
遅いのが普通です。出ないからといって掘り返さないでください。

6. 掘るのは、つるが枯れて 2 週間以上たってから
早掘りすると切り口が褐色に変わり、すりおろしても色が悪くなります。枯れてからもうひと呼吸おいてください。

7. 1 年で穫れることもある
天然物は 5 年ほどかかります。種芋から育てれば早いもので 1 年、大きさによっては 2〜3 年かかります。

農薬を使わないと、ここが難しい

うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。

  • 数値の裏づけが薄い — 自然薯だけを対象にした温度・pH・施肥の資料がほとんどありません。手順は確かですが、数値は「やまいも」総称のものを借りている状態です
  • ハダニ — 夏の乾燥で葉に出ます。敷きわらで土の乾きをゆるめ、葉の裏に水をかけて洗い流すのが基本です(→ハダニ類)
  • モザイク病 — まわりの雑草が感染源になるとされ、除草くらいしか打つ手がありません
  • 土壌病害 — 種芋から持ち込まれます。傷んだ種芋を使わないことが唯一の対処です
  • 葉渋病・炭疽病 — 梅雨から初秋に葉をやられます。打てる手は支柱を立ててつるを上げることで、地面を這わせると一気に広がります。支柱はむかご対策だけでなく、病気対策でもあります

種を買う

ジネンジョ の品種ごとの紹介は準備中です。まずは品目で探せるようにしています。

出やすい病害虫

ジネンジョで報告が多いものです。全部が毎年出るわけではありません。 名前を押すと、見分け方と農薬を使わない対処が読めます。

虫

見つけたら早いほど楽です

病気

風通しと水はけで出方が変わります

病害虫の一覧を見る

よくある質問

パイプや波板は本当に必要ですか?

家庭菜園では必要です。自然薯は土の中をまっすぐ 1m 近く伸びるので、そのまま作ると石や固い層に当たって曲がり、折らずに掘り出すのはまず無理です。波板なら手に入りやすく、費用も抑えられます。

資材の中に肥料を入れてはいけないのはなぜですか?

自然薯は地表近くの根から養分を吸い、芋から出た根は吸わないからです。中に肥料分があると、芋の品質が落ちます。中は山土や川砂のようなやせた土で満たし、肥料は畝の表面にだけ入れてください。

芽が出ません。失敗でしょうか。

1 か月から 40 日ほどかかります。 遅いのが普通なので、掘り返さずに待ってください。

つるは垂らしてはいけないのですか?

垂らさないでください。つるが垂れるとむかご(葉のつけ根につく小さな芋)ができて、そちらに養分が回り、地下の芋が太りません。2m 前後の支柱を立ててネットに誘引します。つるを上げておくと、葉の病気も出にくくなります。

むかごは食べられますか?

食べられます。炊き込みごはんにしたり、炒めたりします。ただし、むかごができるぶん芋が太らないので、芋を穫りたいならつるを上げて減らしてください。

何年で穫れますか?

種芋から育てれば早いもので 1 年です。種芋の大きさによっては 2〜3 年かかります。山に自生しているものは 5 年ほどかけて 1m になります。

いつ掘ればいいですか?

つるが完全に枯れて、さらに 2 週間以上おいてからです。早掘りすると、切り口やすりおろしたものが褐色に変わります。資材ごと掘り出して、受け口から引き出してください。

種芋はどこで買えますか?

園芸店や種苗店、通販で「自然薯 種芋」として売られています。切り分けたものと、むかごから育てたものがあります。傷んだものは土壌病害を持ち込むので避けてください。