BEAN · マメ科

ラッカセイ

Peanut

マメ科。実が地面の中でできるという、ほかに例のない野菜です。

花が咲き終わったあと、その付け根から「子房柄(しぼうへい)」という細い枝が地面に向かって伸び、土にもぐって、その先に莢(さや)がつきます。「落花生」という名前は、花が落ちて(=もぐって)実になるところから来ています。

この仕組みが分かると、やることが全部つながります。

  • 子房柄がもぐる地面を、やわらかくしておく。粘土質の畑は向きません
  • マルチは必ず外す。張ったままだと、もぐれず、土も乾いて実が入りません
  • 子房柄がもぐりはじめたら、株元を耕さない。伸びている子房柄を切ってしまいます

もうひとつ、カルシウムが実の肥大に欠かせません。足りないと、莢はできても中身が入らない「空莢(からざや)」になります。石灰は多めに入れてください。

肥料は窒素を少なめにします。マメ科は根につく根粒菌という菌が空気中の窒素を取り込んで肥料にするので、そのぶん要りません。それ以上に、窒素を入れすぎると株ばかり茂って莢がつかない「つるぼけ」になります。

難易度
旬 夏
ラッカセイ(マメ科) — イメージ

写真はイメージです(生成画像)。Sofarm の圃場写真は準備中です。

栽培のめやす

発芽適温
20℃
生育適温
15〜25℃
土壌 pH
6〜6.5
株間・条間
30cm
畝幅・畝間
70〜90cm
まき深さ
2〜3cm
連作の間隔
3〜4 年

キタネコブセンチュウが増えるので、マメ科の基準より長め

植えつけの目安

本葉 2〜4 枚

種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。

いつ植えて、いつ収穫する?

作型
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
ポット育苗・定植
春まき
まきどき
▼▼ 植えつけ期
育成(推定)
収穫期

線は旬(上旬・中旬・下旬)単位です。線にカーソルを置くと、資料の期間表記・区分名・出典が出ます。 「育成」は定植から収穫までの間を埋めた推定で、資料に書かれた値ではありません。

育て方

上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。

  1. 場所を決める

    • 軽くて水はけのよい土を選ぶ。粘土質の畑は向きません
    • マメ科を 3〜4 年作っていない場所
    • 輪作(同じ場所で違う科の野菜を順に作ること)に入れるなら、トウモロコシやムギなどのイネ科が効きます。センチュウ(根につく小さな虫)が増えません
  2. 土をつくる

    • 石灰を 1㎡ あたり 200g。 カルシウムが実の肥大に欠かせません
    • 有機質肥料は 1㎡ あたり 60g だけ。窒素を入れてよいのはここまでです
    • リン酸とカリ(肥料の袋に P・K と書かれている成分)は実を太らせるのに要るので、窒素の少ない資材で別に補います
    • 堆肥は完熟したものを。できれば前の野菜を作るときに入れておく
    • 未熟な有機物を入れない。 コガネムシの成虫を呼び、幼虫が地中の莢を食べます
    • 幅 70〜90cm・高さ 15cm の畝を立てて、よく耕してやわらかくしておく
    • 黒マルチを張る
  3. まく(ポットで育てるのが安全)

    • 直まきは、鳥に掘り起こされて全滅することがあります
    • ポットに深さ 1〜2cm で 2〜3 粒。20 日ほど育てる
    • 直まきにするなら深さ 2〜3cm で、テグスや防鳥テープ、不織布で守る
    • まいた直後は水をやらない。 雨の直前・直後にまくのも避けてください
    • 種は、まく直前に殻からむいて使う(薄皮はむかない)。古いものは避ける
  4. 植える・間引く

    • 植えつけは本葉 3〜4 枚
    • 直まきなら、本葉 2 枚で 2 本、本葉 3〜4 枚で 1 本に
    • 株間 30cm
    • あとで土を寄せるぶんを見越して、少し低く植える
  5. マルチを外す(この野菜の分かれ目)

    • 株のあちこちで黄色い花が見えるようになったら、そこから 1 週間を目安に外す
    • 株が大きく広がる品種は、咲いた直後に
    • 外し忘れると、子房柄が地面にもぐれません。 さらに土が乾いて、もぐれても実が入りません
  6. 土を寄せる(2 回)

    花が咲いたら、マルチを外す

    ラッカセイは、花が咲き終わったあとに付け根から伸びる細い枝(子房柄)が地面にもぐって、その先に実をつけます。もぐれなければ、実はできません。

    マルチを外した株
    花が咲き終わると、その付け根から子房柄が伸びて土にもぐります。その先がふくらんで莢になります。
    花が咲き終わると。柄が土にもぐって莢になる
    花の付け根から伸びる細い枝(子房柄)が地面にもぐって、その先に実をつけます。もぐれなければ、実はできません。
    外し忘れた株
    マルチに当たって、子房柄が土に入れません。土も乾くので、もぐれても実が入りません。
    マルチに当たって、もぐれない
    マルチを張ったままだと、子房柄が土に入れません。土も乾くので、もぐれても実が入りません。
    外す時期と、手を止める時期
    1. 株のあちこちで黄色い花が見えたら、そこから 1 週間を目安にマルチを外す
    2. 外したら株元に土を寄せて、もぐりやすくする
    3. このとき追肥も一緒に(1㎡ あたり 30g、カリの多いもの)
    4. 2 週間ほどしたら、もう一度土を寄せる
    5. 子房柄が土に刺さりはじめたら、株元をいじらない
    子房柄が刺さりはじめてから株元を耕すと、伸びている子房柄を切ってしまいます。草が出たら手で抜いてください。

    株が大きく広がる品種は、咲いた直後に外します。
    • マルチを外したら、株元に土を寄せて、子房柄がもぐりやすいようにする
    • このときに追肥を 1㎡ あたり 30g。カリの多いものを
    • 元肥に石灰を入れそびれたら、このときに入れる
    • 2 週間ほどしたら、もう一度寄せる。 子房柄がもぐる範囲が広がります
    • 除草も兼ねます
  7. 子房柄がもぐりはじめたら、株元をいじらない

    • 花が咲いても、しばらくは土を寄せてかまいません
    • やめるのは、細い子房柄が地面に刺さりはじめてから
    • ここから先に株元を耕すと、伸びている子房柄を切ります
    • 草が出たら、手で抜いてください
  8. 水をやる

    • 子房柄がもぐって莢が太る時期に乾かさない。 ここで乾くと実が入りません
    • ハダニも、この時期の乾燥で出ます
    • ただし多湿にも弱いので、水はけは確保しておく
  9. 穫る

    • 下の葉が黄ばんで枯れはじめたら、1 株だけ試し掘りする
    • 見るのは 莢の網目。掘った株の莢のうち、網目がはっきり出ているものが 8 割になっていれば頃合いです
    • 網目が出はじめた程度なら早すぎます。ゆでて食べるなら少し早めでもよいのですが、乾かして保存するなら 8 割まで待つ
    • 遅れると実が過熟になって、質が落ちます
    • 掘り上げたら、株ごと逆さにして干す。ゆすってカラカラと音がするようになったら終わり
    • 収穫が近づくと鳥が地中の豆を食べに来ます。干しているあいだも狙われるので、テグスを張ってください

ここだけは押さえたい

1. マルチは花が見えてきたら 1 週間で外す
この野菜でいちばん多い失敗です。外し忘れると子房柄が地面にもぐれず、土も乾いて、莢ができても中身が入りません。

2. 石灰を多めに入れる
カルシウムが実の肥大に欠かせません。1㎡ あたり 200g。足りないと空莢になり、翌年まく種にしても芽が出ません。

3. 窒素は少なめに
入れすぎると株ばかり茂って莢がつきません(つるぼけ)。窒素は 60g で打ち止めにして、実を太らせるリン酸とカリを別に足してください。

4. マルチを外したら、必ず土を寄せる
子房柄がもぐりやすくする、この野菜でいちばん大事な作業です。2 週間後にもう一度寄せます。

5. 子房柄がもぐりはじめたら株元をいじらない
伸びている子房柄を切ってしまいます。草が出たら手で抜いてください。

6. 粘土質の畑では作らない
子房柄がもぐれません。軽くて水はけのよい土を選んでください。

7. 未熟な有機物を入れない
コガネムシの成虫を呼びます。幼虫は地中の莢を直接食べるので、出てからでは手がありません。

8. 鳥から守る
まいた種と出たばかりの芽、そして収穫が近づいた地中の豆と、干しているあいだの豆。鳥は 2 回来ます。ポットで育てて植えるのが安全で、あとはテグスや防鳥テープを。

9. 莢が太る時期に乾かさない
子房柄がもぐってからの乾燥で、実が入らなくなります。

10. 網目が 8 割で掘る
試し掘りをして、莢の網目がはっきり出ているものが 8 割になったら頃合いです。

農薬を使わないと、ここが難しい

うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。

  • コガネムシ — 幼虫が地中の莢を直接食べます。土の中なので、出てから無農薬で止める手はありません。できるのは、完熟堆肥を使って未熟な有機物を入れないことと、成虫を見つけしだい捕ることまでです
  • キタネコブセンチュウ — 連作で増えます。イネ科(トウモロコシ・ムギ)やアスパラガスを挟むと増えません。マリーゴールドなどの対抗植物(センチュウを減らす働きのある植物)を入れる手もありますが、どれだけ減るかは Sofarm でこれから確かめます
  • さび病 — 葉の裏に出ます。広がったら早めに掘り上げるほうが現実的です。葉が枯れ上がってからでは実が太りません(→さび病)
  • 褐斑病・黒渋病 — 黒渋病はひどいと 2〜3 割収量が落ちます。出てから無農薬で止める手はありません。できるのは、輪作と水はけで予防することまでです。ほかに手があるかは Sofarm でこれから確かめます
  • ヒョウタンゾウムシ — 成虫は飛べず、歩いて畑に入ってきます。畑のまわりの草を取っておくと減ります
  • ハダニ — 乾いたときに出ます。莢が太る時期に水をやって防ぐ(→ハダニ類)
  • 鳥 — まいた種と芽、収穫前の地中の豆、乾燥中の豆。ポット育苗、テグス、防鳥テープ、不織布。草丈が 10cm ほどになれば、芽の時期の心配は終わります

種を買う

ラッカセイ の品種ごとの紹介は準備中です。まずは品目で探せるようにしています。

出やすい病害虫

ラッカセイで報告が多いものです。全部が毎年出るわけではありません。 名前を押すと、見分け方と農薬を使わない対処が読めます。

病気

風通しと水はけで出方が変わります

ほかに 2 件の報告があります。

病害虫の一覧を見る

よくある質問

莢はできたのに、中身が入っていません。

空莢(からざや)です。原因は 3 つ考えられます。

ひとつめはマルチ。 外し忘れると子房柄が地面にもぐれませんし、土も乾いて実が入りません。株のあちこちで黄色い花が見えるようになったら、そこから 1 週間を目安に外してください。

ふたつめは石灰不足。 カルシウムが実の肥大に欠かせません。1㎡ あたり 200g。入れそびれたら、マルチを外して土を寄せるときに入れてください。

みっつめは乾燥。 子房柄がもぐって莢が太る時期に乾かすと、実が入りません。

莢がつきません。株ばかり茂っています。

窒素の入れすぎです。いわゆる「つるぼけ」。

マメ科は根につく根粒菌が空気中の窒素を取り込むので、肥料の窒素はそのぶん要りません。1㎡ あたり有機質肥料 60g(窒素成分で 3g)で打ち止めにしてください。

そのかわり、実を太らせるリン酸とカリは別に足します。肥料の袋に P・K と書かれている成分です。

マルチはいつ外すのですか?

株のあちこちで黄色い花が見えるようになったら、そこから 1 週間を目安に。株が大きく広がる品種は、咲いた直後に外します。

迷ったら早いほうにしてください。遅れたときの損失が大きいからです。

土寄せはいつ、何回するのですか?

2 回です。

1 回目はマルチを外したとき。株元に土を寄せて、子房柄がもぐりやすくします。この野菜でいちばん大事な作業です。このときに追肥(1㎡ あたり 30g、カリの多いもの)も一緒に。

2 回目はその 2 週間ほどあと。子房柄がもぐる範囲が広がります。

やめるのは、細い子房柄が地面に刺さりはじめてから。 ここから先に株元を耕すと、伸びている子房柄を切ってしまいます。草が出たら手で抜いてください。

いつ掘ればいいですか? 何を見て決めるのですか?

下の葉が黄ばんで枯れはじめたら、1 株だけ試し掘りをします。

見るのは 莢の網目です。掘った株の莢のうち、網目がはっきり出ているものが 8 割になっていれば頃合いです。

網目が出はじめた程度なら早すぎます。ゆでて食べるなら少し早めでもよいのですが、乾かして保存するなら 8 割まで待ってください。

遅れると実が過熟になって、質が落ちます。

芽が出ません。掘り返された跡があります。

鳥です。直まきは掘り起こされて全滅することがあります。

ポットで育てて植えるのがいちばん安全です。直まきにするなら、テグスや防鳥テープ、不織布で守ってください。草丈が 10cm ほどになれば、この時期の心配は終わります。

もうひとつ、まいた直後に水をやらないでください。雨の直前・直後にまくのも避けます。

鳥は、ほかの時期も来ますか?

来ます。収穫が近づくと、地中の豆を食べに来ます。 掘ったあと干しているあいだも狙われます。

どちらの時期もテグスを張ってください。干すのは、株ごと逆さにして。ゆすってカラカラと音がするようになったら終わりです。

粘土質の畑でも作れますか?

向きません。子房柄が土にもぐれないからです。多湿にも弱いので、粘土質の畑では育ちにくくなります。

軽くて水はけのよい土、砂地や火山灰土を選んでください。畝もよく耕して、やわらかくしておきます。

葉に茶色い斑点が出ました。

褐斑病か黒渋病、あるいはさび病です。

さび病なら、広がったら早めに掘り上げるほうが現実的です。葉が枯れ上がってからでは実が太りません。

褐斑病・黒渋病は、出てから無農薬で止める手がありません。できるのは、輪作と水はけで予防することまでです。

プランターで作れますか?

できますが、深さと広さが要ります。子房柄がもぐる面積が収穫量になるからです。

深さ 30cm 以上の大きめの容器に 1 株。土はやわらかく、表面を押し固めないように。