立枯病
別の呼び方: リゾクトニア病、すそ枯病
土の中のカビが地際から入り、株が立ったまま枯れる病気です。レタス・ミズナ・コマツナ・ホウレンソウ・バジル・サツマイモに出ます。レタスのすそ枯病、コマツナのリゾクトニア病も、同じ仲間の菌によるものです。
倒れないのが特徴です。しおれて、色が抜けて、そのまま立って枯れる。だから水切れと見分けがつきにくく、水をやって様子を見ているうちに手遅れになります。
原因は品目によって違いますが、地際が濡れたまま乾かないという一点はおおむね共通しています。ただしサツマイモだけは話が違います。下に別で書きました。
見分け方
- 株が倒れずに立ったまましおれ、戻らない
- 地際(土ぎわ)が褐色〜黒褐色に変色して、水がしみたようにやわらかい。ここが決め手です
- 抜くと、細い根がごっそり落ちて根量が減っている
- 外側の葉が、地面に接したところから腐り始める(レタスのすそ枯病)
- 1 株から始まり、隣へ円を描くように広がっていく
- 水をやってもしおれが戻らない。これで水切れと切り分けられます
出やすい条件
- 土が湿ったまま乾く間がないとき。 水のやりすぎ、排水の悪い畑、長雨のあと
- 気温が高いとき。 レタスでは、10℃ では発病せず、30℃ ではほぼ全株がやられるという試験結果があります。残暑に当たる作型がいちばん危ない
- 同じ場所で作り続けたとき(コマツナのリゾクトニア病は長い連作畑で出ます)
- 深植えしたとき。レタスでは浅植えより深植えのほうがはっきり発病が増えます
- 未分解の有機物をすき込んだ直後
- 目の細かい防虫ネットで通気が止まり、中が高温多湿になったとき
出さないために
- 畝を高くして、水を抜く。 雨のあとに水が引かない場所では作らない。これが土台です
- 深植えしない。 苗の根鉢の上面が土の高さと同じになるくらいに、浅く植えてください
- 株間を広げて、地際に風を通す。 地面に接した葉が乾く時間を作ります
- 残暑のかかる時期は、地温を上げない。 白黒のマルチで覆うか、日よけをかけて地面の温度を下げます。黒マルチは地温を上げるので、この時期は逆に出方を悪くします
- 水やりは午前中に。 夕方には表面が乾いているくらいが目安です
- 連作を切る。 レタスは年 1 作にして、マリーゴールドかニンジンと輪作すると発病がはっきり下がります。アブラナ科は輪作相手に選ばないでください。 同じ菌がキャベツの株腐病・ハクサイの尻腐病を起こすので、増やすことになります
- 細かいネットを張っているときは、昼のあいだ換気する
サツマイモだけは別の相手です
サツマイモの立枯病は、湿りではなく土が乾いていて、地温が高くて、土のアルカリ寄りのときに出ます。手の打ち方が逆になるので注意してください。
- 石灰を入れない。 土の pH が高いほど出ます。pH 5.5 以上の畑に苦土石灰などの塩基性の資材を足すと、かえって悪くします。苦土が要るなら硫酸苦土、石灰が要るなら硫酸石灰を使ってください
- 白黒のダブルマルチなどで、地温が上がりすぎないようにする
- つるの伸びが止まって葉が黄色くなり、地下の茎に丸くへこんだ黒い斑が出ます。いもの表面にも黒い斑ができ、古くなるとへこんでコルクのようになります
- 抵抗性のある品種を選ぶ
出てしまったら
- 出た株は治りません。 根ごと抜いて、まわりの土ごと畑の外へ出してください
- すぐに水やりを減らす。 原因が湿りなので、ここを変えないと隣へ進みます
- 込んでいるなら、この機会に間引いて地際に風を通す
- 残った株に効く手当てはありません。収穫できるものは早めに採ってください
- 次の作では、植える時期を気温の低いほうへずらす。レタスは残暑を外すだけでかなり違います
まちがえやすいもの
- 苗立枯病 — 同じ菌の仲間ですが、出るのが発芽〜本葉 1〜2 枚のときで、地際が細くくびれて倒れます。立枯病は株が育ってから出て、倒れません
- ネキリムシ — 茎がきれいに切り落とされています。切り口があれば虫です
- 水切れ — 水をやれば戻ります。立枯病は戻りません
- 萎黄病・萎凋病 — 下葉から黄色くなり、茎を割ると中心の筋が褐色です。立枯病は地際の外側が腐ります
- 軟腐病 — 腐ったところが強い悪臭を放ちます。立枯病は臭いません
よくある質問
水をやってもしおれが戻りません。
水切れではありません。地際を見てください。土ぎわが褐色〜黒褐色に変わって、押すとやわらかければ立枯病です。抜いて畑の外へ出し、残りの株は水やりを減らしてください。やり続けると広がります。
苗立枯病とどう違うのですか?
出る時期と、倒れるかどうかで分かれます。苗立枯病は発芽から本葉 1〜2 枚のころに、地際が細くくびれて倒れます。立枯病は株が育ってから、倒れずに立ったまま枯れます。菌は近い仲間なので、水を抜くという対処は共通です。
レタスばかり毎年やられます。
残暑と連作の二つが重なっています。レタスは年 1 作にして、あいだにマリーゴールドかニンジンを入れてください。アブラナ科は選ばないでください。同じ菌がキャベツやハクサイでも悪さをするので、増やす結果になります。植えつけを涼しい時期にずらすのも効きます。
サツマイモにも石灰をまいていいですか?
まかないでください。サツマイモの立枯病は、土がアルカリ寄りになるほど出ます。酸性に傾いた畑でも、pH 5.5 を超えているなら石灰は足さないでください。苦土やカルシウムが足りないときは、苦土石灰のような塩基性の資材ではなく、硫酸苦土や硫酸石灰を使います。ほかの野菜と同じつもりで石灰をまくと、この病気を呼びます。