サツマイモ
Sweet Potatoヒルガオ科。種も芋も植えません。つるを切った「苗」を土に挿して育てます。
熱帯生まれで、やせた土でよく育ちます。むしろ肥料を入れすぎると失敗します。窒素が多いと茎葉ばかり茂って芋ができない「つるぼけ」になります。入れる窒素は 1㎡ あたり 3g。ほかの野菜の半分以下です。
この野菜には、ジャガイモと同じく 石灰を入れないという決まりごとがあります。pH はほとんど選ばず、4.2〜7.0 の幅で育ちます。気にするのは上限だけで、6.0 を超えると立枯病が出ます。だから石灰を入れません。土が酸性に寄っていても、この野菜では直さなくてかまいません。
もうひとつ、堆肥も入れません。正確には、サツマイモを植える前には入れない。有機栽培の試験では、毎作、堆肥を入れた区画のコガネムシ被害がはっきり増えました(被害の度合いで 16.9〜29.9 に対し、入れなかった区画は 1.1〜3.8)。コガネムシの幼虫は地中の芋を直接かじるので、これは収穫に直結します。堆肥を入れるなら、前の野菜を作るときに。
植え方にもコツがあります。苗の節を 3 つ、土に埋めること。節を埋めないと、水を吸う根ばかりになって芋ができません。
このページは、秋に掘って貯蔵する作り方(植えつけから 120〜140 日)で組んでいます。
写真はイメージです(生成画像)。Sofarm の圃場写真は準備中です。
栽培のめやす
- 生育適温
- 30〜35℃
- 土壌 pH
- 5.5〜6
- 株間・条間
- 35cm
- 畝幅・畝間
- 90〜100cm
- 畝の高さ
- 20cm
- 連作の間隔
-
あけなくてよい
ただし 3〜4 年に一度は別の科を挟む。株元が黒く腐る病気が出た畑では、ヒルガオ科以外を作るか休ませる
- 植えつけの目安
-
展開葉7枚、苗長25〜30cm を基準に充実した苗を切り取る
種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。
育て方
上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。
-
苗を用意する
- 葉が 7 枚開いて、長さ 25〜30cm のものを選ぶ
- 買った苗がしおれていても、水に挿せば戻ります
- 切ってから 2〜3 日、物置などの冷暗所に置いてから植える。 植えたあとに強い風や日差しが続くと、根が出る前に弱ります
- ただし置きすぎると葉が黄ばんで、根づきが悪くなります
-
土をつくる
- 水はけのよい、砂まじりの土を選ぶ。 粘土質で水はけが悪いと、芋が太らずつるぼけになります
- 石灰を入れない
- 堆肥も入れない。入れるなら、前の野菜を作るときに
- 有機質肥料を 1㎡ あたり 60g だけ。窒素を入れてよいのはここまでです
- カリは 1㎡ あたり 10g。 芋を太らせるのに要りますが、増やすと味が落ち、丸い芋が増えるので、これ以上は足しません
- リン酸も 1㎡ あたり 10g。芋の太りには効きませんが、植えてすぐの育ちがよくなります。どちらも窒素の少ない資材で補います
- 高さ 20cm・底の幅 40〜60cm のカマボコ型の畝を立てる。畝間 90〜100cm
- 黒いマルチを張る
-
植える
斜めに挿して、節を 3 つ埋める
サツマイモは種も芋も植えません。つるを切った苗を挿します。芋ができるのは、土に埋まった節だけです。
節を 3 つ埋める節(葉のつけ根のふくらみ)が土の中にあると、そこから出た根が太って芋になります。葉は外に出します。
苗の節が土の中にあると、そこから出た根が太って芋になります。地面より上の節からは葉が出ます。浅く挿すと埋まった節が 1 つだけだと、水を吸う根ばかりになって芋がほとんどできません。苗を立てて浅く挿したときに起きます。
苗を立てて浅く挿すと、土に埋まる節が 1 つだけになります。根は伸びますが、太りません。挿すときの決まりごと1. 遅霜の心配がなくなり、平均気温 18℃・地温 15℃ を超えてから2. 曇りの日か、晴れた日の朝夕に挿す。日中の暑い時間に挿すと根づかずに枯れる3. 斜めに挿す。直立は数が少なく大きい芋、水平は数が多くそろう。斜めはその中間4. 株間 35cm。挿したらたっぷり水をやる5. 数日のあいだ、新聞紙などで苗を覆うと根づきがよくなる買った苗がしおれていても、水に挿せば戻ります。むしろ切ってから 2〜3 日、冷暗所に置いてから植えるほうが根づきます。- 遅霜の心配がなくなり、平均気温 18℃・地温 15℃ を超えてから
- 株間 35cm
- 挿すのは曇りの日か、晴れた日の朝夕に。 日中の暑い時間に挿すと、根づかずに枯れます
- 斜めに挿して、節を 3 つ土に埋める。葉は外に出す
- 節を埋めないと、水を吸う根ばかりになって芋ができません
- 植えたらたっぷり水をやる
- 植えたあと数日、新聞紙などで苗を覆うと根づきがよくなります
-
植えたあと
- 根づくまでは乾かさない
- 根づいたあとは、ほとんど手がかかりません
- つる返しはしなくてかまいません。 今の品種は、つるの節に芋がつきません
-
穫る
- 植えつけから 120〜140 日。ただし初霜より前に必ず掘り終える
- 先に試し掘りをする。 畝の端から 3m 以上内側で、育ちがふつうの場所を 2〜3 株。端は太りやすいので避けます
- 土が乾いている日に掘る。 湿っていると芋に土がつき、皮がむけて保存がきかなくなります
- つるは収穫の当日に刈る
- 早すぎると味が悪く、遅すぎると形が乱れます
-
寝かせる
- 掘りたては甘みが乗っていません
- 掘ったら晴れた日に表面を乾かし、13〜16℃ の涼しい場所で 2〜3 週間置くと甘くなります
- 10℃ を下回ると傷むので、冷蔵庫には入れないでください
- 風を直接当てると両端から乾いて腐ります。新聞紙にくるんで発泡スチロールの箱などに入れ、箱に穴をあけて空気を通します
ここだけは押さえたい
1. 肥料を入れすぎない
窒素が多いと茎葉ばかり茂って、芋ができません(つるぼけ)。入れる窒素は 1㎡ あたり 3g。ほかの野菜の半分以下です。
2. 石灰を入れない
ジャガイモと同じ例外です。pH 4.2〜7.0 で育つので下げる必要はなく、6.0 を超えると立枯病が出ます。上げないことだけ守ってください。
3. 堆肥は前の野菜のときに入れる
サツマイモの前に入れると、コガネムシを呼びます。幼虫は地中の芋を直接かじるので、収穫に直結します。
4. 節を 3 つ埋める
節を埋めないと、水を吸う根ばかりになって芋ができません。葉は外に出します。
5. 苗は 2〜3 日置いてから植える
切ってすぐ植えると、根が出る前に強い日差しや風で弱ります。ただし置きすぎも禁物です。挿すのは曇りの日か、晴れた日の朝夕に。
6. 畝を高くする
高さ 20cm のカマボコ型。水分を保ちながら余分な水を抜くためで、掘るのも楽になります。
7. つる返しはしなくていい
昔の品種では必要でしたが、今の品種はつるの節に芋がつきません。
8. 霜の前に掘り終える
日数だけ数えていると間に合わないことがあります。霜に当たった芋は腐って、保存もきかなくなります。
9. 掘ってすぐ食べない
13〜16℃ の涼しいところで 2〜3 週間寝かせると甘くなります。10℃ を下回ると傷むので冷蔵庫はだめです。
農薬を使わないと、ここが難しい
うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。
- コガネムシ — 幼虫が地中の芋を直接かじります。土の中なので、出てから無農薬で止める手はありません。できるのは、分解しきっていない堆肥を入れないこと、サツマイモの前に堆肥を入れないことまで。有機の試験では、これだけで被害の度合いが 10 分の 1 近くまで下がりました
- サツマイモ基腐病 — 株元が黒く腐って枯れます。特効薬がないとされる病気で、強いとされる品種でもかからないわけではありません。できるのは、健全な苗を使うことと、出た株を抜いて畑の外へ持ち出すこと。出た畑では、ヒルガオ科以外と輪作するか休ませます。畑が 1 枚しかない家庭菜園では、選択肢がかなり狭まります
- つる割病 — 株全体がしおれて枯れ、葉が黄色くなって落ち、地際が縦に裂けます。土からより苗から持ち込まれるので、自分で残したつるを使い続けないことが予防です。つるを切るハサミはこまめに洗います(→つる割病)
- サツマイモネコブセンチュウ — 芋の表面がゴツゴツになります。ギニアグラス・ソルガム・クロタラリア・エンバクなどの対抗植物(センチュウを減らす働きのある植物)を挟むと減らせますが、その 1 年ぶんの畑が要ります
- ハリガネムシ — 幼虫が芋に穴をあけます。コガネムシと同じく、未熟な有機物を入れないこと
- ハスモンヨトウ・イモキバガ — 葉を食べます。若いうちは集団でいるので、その葉ごと取る(→ヨトウムシ類)
- アブラムシ — ウイルス病を運びます。健全な苗を使うことが予防です(→アブラムシ類)
南の一部の地域では、アリモドキゾウムシ・イモゾウムシの発生で、芋やつるの持ち出しが法律で規制されています。該当する地域にお住まいなら、自治体の案内を確かめてください。
出やすい病害虫
サツマイモで報告が多いものです。全部が毎年出るわけではありません。 名前を押すと、見分け方と農薬を使わない対処が読めます。
虫
見つけたら早いほど楽ですほかに 3 件の報告があります。
よくある質問
つるばかり茂って、芋ができませんでした。
つるぼけです。窒素のやりすぎが原因です。
サツマイモはやせた土でよく育ちます。入れる窒素は 1㎡ あたり 3g だけ。ほかの野菜の半分以下です。追肥もしません。
前の野菜の肥料が残っている畑でも起きます。心当たりがあるなら、元肥を入れずに植えてください。
水はけの悪い粘土質の畑でも、同じように芋が太らずつるだけ伸びます。
芋が小さいです。数が少ないです。
節を埋める数を確かめてください。
苗の節(葉のつけ根のふくらみ)が土に埋まったところから、芋になる根が出ます。節を 3 つ埋めるのが目安です。1 つしか埋めないと、水を吸う根ばかりになって芋がほとんどできません。
掘るのが早すぎた可能性もあります。植えつけから 120〜140 日かかります。
カリが足りないときも太りません。1㎡ あたり 10g。ただし増やすと味が落ち、丸い芋が増えるので、それ以上は足さないでください。
苗はどう植えるのですか?
斜めに挿して、節を 3 つ土に埋めます。葉は外に出します。
直立に挿すと数が少なく大きい芋、水平に寝かせると数が多くそろいます。斜めはその中間で、家庭菜園ではいちばん扱いやすい植え方です。
挿すのは曇りの日か、晴れた日の朝夕に。日中の暑い時間に挿すと、根づかずに枯れます。植えたらたっぷり水をやり、数日のあいだ新聞紙などで苗を覆うと根づきがよくなります。
買った苗がしおれています。
水に挿せば戻ります。
サツマイモの苗は、つるを切ったものです。しおれていても枯れたわけではありません。
むしろ、切ってから 2〜3 日、物置などの冷暗所に置いてから植えるほうが根づきます。挿してすぐに強い風や日差しが続くと、根が出る前に弱るからです。
ただし置きすぎると葉が黄ばんで、かえって根づきが悪くなります。
石灰は入れなくていいのですか?
入れません。ジャガイモと同じ例外です。
サツマイモは pH 4.2〜7.0 の幅で育つので、酸性に寄っていても直す必要がありません。気にするのは上限だけで、6.0 を超えると立枯病が出ます。
ほかの野菜のつもりで石灰を入れると、この病気を呼び込みます。
堆肥も入れないのですか?
サツマイモを植える前には入れません。
有機栽培の試験で、毎作、堆肥を入れた区画のコガネムシ被害がはっきり増えました。コガネムシの幼虫は地中の芋を直接かじるので、これは収穫に直結します。
堆肥を入れるなら、前の野菜を作るときに。
ただし、やせた畑をこれから作っていく段階なら話が別です。前の野菜のときに完熟堆肥を入れて土を作っておいてください。サツマイモの直前に入れないことだけは変えません。
つる返しは必要ですか?
今の品種では、しなくてかまいません。
つる返しは、伸びたつるの節から根が出て芋ができてしまうのを防ぐ作業でした。今の品種は、つるの節に芋がつきません。
草取りのついでにつるを動かす程度で十分です。
いつ掘ればいいですか?
植えつけから 120〜140 日。ただし初霜より前に必ず掘り終えてください。
日数だけ数えていると、霜に間に合わないことがあります。霜に当たった芋は腐って、保存もきかなくなります。
先に試し掘りをしてください。畝の端から 3m 以上内側で、育ちがふつうの場所を 2〜3 株。端は太りやすいので、そこで判断すると早すぎます。
掘るのは土が乾いている日に。湿っていると芋に土がつき、皮がむけて保存がきかなくなります。つるは収穫の当日に刈ってください。
掘ってすぐ食べていいですか? 甘くするには?
2〜3 週間、寝かせてください。
掘りたては甘みが乗っていません。表面を晴れた日に乾かしてから、13〜16℃ の涼しい場所に置くと甘くなります。
10℃ を下回ると傷むので、冷蔵庫には入れないでください。
風を直接当てると両端から乾いて腐ります。新聞紙にくるんで発泡スチロールの箱などに入れ、箱に穴をあけて空気を通してください。
芋に穴があいています。表面がゴツゴツしています。
穴はコガネムシかハリガネムシの幼虫です。土の中なので、出てから無農薬で止める手はありません。できるのは、分解しきっていない堆肥を入れないこと、サツマイモの前に堆肥を入れないことまでです。
表面がゴツゴツしているのはサツマイモネコブセンチュウです。ギニアグラスやエンバクなどの対抗植物(センチュウを減らす働きのある植物)を挟むと減らせますが、その 1 年ぶんの畑が要ります。
株元が黒く腐って、枯れました。
サツマイモ基腐病です。特効薬がないとされる病気で、強いとされる品種でもかからないわけではありません。
できるのは、健全な苗を使うことと、出た株を抜いて畑の外へ持ち出すこと。出た畑では、ヒルガオ科以外と輪作するか休ませます。
株全体がしおれて、地際が縦に裂けているならつる割病です。こちらは土からより苗から持ち込まれるので、自分で残したつるを使い続けないことが予防になります(→つる割病)。
プランターで作れますか?
作れますが、深さが要ります。
芋は土の中で太るので、深さ 30cm 以上の容器を選んでください。大きめのプランターか、野菜用の袋で 1 株が目安です。
肥料は入れすぎないこと。培養土にもともと肥料が入っているので、そのまま植えて追肥をしないくらいでちょうどです。水も、根づいたあとは控えめに。