受粉の失敗(粒が入らない・幼果が落ちる)
どの花粉が、いつ、どこについたかで決まる失敗です。トウモロコシとズッキーニに出ます。
病気でも虫でもありません。三つの症状をまとめて扱います。
- トウモロコシの先端に粒が入らない — 花粉が足りなかった
- トウモロコシの粒が硬い、甘くない、白い品種に黄色い粒が混じる — 別の品種の花粉がついた
- ズッキーニの幼果が黄色くなって、ふにゃふにゃ落ちる — 雄花が無くて受粉できなかった
足りないのと、余計なものがついたのとで、方向は逆です。けれどどちらも「絹糸や雌花に、どの花粉が届いたか」の話で、打つ手も同じ場所にあります。株をどう配置するか、いつ受粉させるか。
この二つの野菜は、人の手が結果を変えられる数少ない相手です。やり方さえ知っていれば、その日の朝 10 分で収穫が決まります。
見分け方
- トウモロコシ — 皮をむくと、先のほうだけ粒が入っていない。粒のある部分とない部分の境目がはっきりしています
- 粒が全体にまばらで、すかすかになっている。花粉が足りなかったときの出方です
- 白い品種に、黄色い粒が混じっている。 甘みが落ちて、粒が硬くなっています。よそから別の品種の花粉が飛んできた跡です
- ズッキーニ — 着いたばかりの小さい実の先端が黄色くなって、ふにゃふにゃになり、落ちる
- 虫の食い跡も、フンも、カビもありません。 あれば別の相手です
出やすい条件
- トウモロコシを 1 列だけで植えたとき。 風で花粉を運ぶ作物なので、列が 1 本だと花粉が横へ流れて届きません
- 株数が少ないとき
- 雄穂が出てから収穫までのあいだに、土を乾かしたとき
- 雄穂が出るまでに、株が弱っていたとき
- 分けつ(株元のわき芽)を取ってしまったとき。分けつにつく雄花の花粉も使えます
- 近くで別の品種のトウモロコシを作っているとき。 花粉はかなり遠くまで飛びます
- ズッキーニの株が若いうち。 雌花だけ咲いて、雄花がまだ出ていない時期があります
- 天気が悪く、虫が飛ばないとき(ズッキーニ)
出さないために
- トウモロコシは、1 列に長く植えず、四角くまとめて植える。 1 列より 2 列、2 列より数列です。細長い畑ではなく、かたまりになるように配置してください。これが先端不稔にいちばん効きます
- 分けつを取らない。 株元から出るわき芽につく雄花の花粉も、受粉に使えます。倒れにくくもなるので、残して損がありません
- 雄穂が出てから収穫まで、土を乾かさない。 乾くと粒が太りません
- 雄穂を切るときは、切った雄穂を絹糸に触れさせてから捨てる。 アワノメイガ対策で雄穂を切るなら、この一手間を必ず入れてください
- 別の品種を近くで作らない。 スイートコーンの隣でポップコーンや飼料用を作ると、粒が硬くなって甘みが落ちます。十分に離すのは家庭菜園では難しいので、まく時期をずらして、花の咲く時期を外すほうが現実的です
- ズッキーニは、まく時期をずらした株を数本置く。 雄花を切らさないための保険です
- ズッキーニのまわりにマリーゴールドなどを植えて、虫を呼ぶ。 露地なら、虫に任せる手もあります
出てしまったら
- トウモロコシの先端不稔は、採ってから直せません。 先の入っていない部分を切り落とせば、残りはおいしく食べられます
- 粒が硬くなってしまったものも直せません。 次の年は、品種の配置かまく時期を変えてください
- ズッキーニは、その日の朝に手で受粉させるのが唯一の手です。 その日に咲いた雄花を摘んで、花びらをむいて、雌花のめしべに直接こすりつけます。早朝から午前 9 時ごろまでに済ませてください。昼を過ぎると花粉の力が落ちます
- 肥大しなかったズッキーニの幼果は、咲いた当日か翌日に採れば食べられます。小さいまま使ってください。放っておくと腐って、株の負担になります
まちがえやすいもの
- アワノメイガ — 実の先に穴があき、まわりにフンがあります。先端不稔に、穴もフンもありません
- 鳥害 — 皮が外から破られて、粒がついばまれています
- カルシウム欠乏(尻腐れ) — 実の先が黒くへこみます。ズッキーニの受粉不良は、黄色くなってしおれます
- 灰色かび病 — 落ちた幼果に灰色のカビが生えます。受粉不良が先で、カビはそのあとに来ます
- 着果不良・成り疲れ — そもそも花が落ちます。受粉不良は、実が着いてから落ちます
よくある質問
トウモロコシの先に粒が入りません。
花粉が足りていません。風で受粉する作物なので、1 列に長く植えると花粉が横へ流れて届きません。次は、同じ株数でも四角くまとめて植えてください。あわせて、株元から出る分けつを取らないこと、雄穂が出てから収穫まで土を乾かさないこと。この三つで変わります。採ってしまった実は、入っていない先を切り落とせば残りは食べられます。
白いトウモロコシに黄色い粒が混じりました。
よそから別の品種の花粉が飛んできています。甘みが落ちて、粒も硬くなります。花粉はかなり遠くまで飛ぶので、家庭菜園の広さで離しきるのは難しい。現実的なのは、まく時期をずらして、花の咲く時期を重ねないことです。いろいろな品種を作るなら、それぞれをまとめて、時期を分けてください。
ズッキーニの小さい実が黄色くなって落ちます。
受粉できていません。株が若いうちは、雌花だけ咲いて雄花が出ていないことがあります。その日に咲いた雄花を摘んで、花びらをむいて、雌花のめしべにこすりつけてください。早朝から午前 9 時ごろまでが勝負です。 雄花が足りないなら、まく時期をずらした株を数本足しておくと切れません。
落ちてしまった小さいズッキーニは捨てるしかないですか?
咲いた当日か翌日に採れば、小さいまま食べられます。花ごと使ってもおいしい。放っておくと腐って株の負担になるので、肥大しないと分かったら早めに採ってしまってください。