ROOT · セリ科

ニンジン

Carrot

セリ科。この野菜は、芽を出させるところがすべてです。

ニンジンの種は、ほかの野菜とくらべて発芽率が低く、よくできて 7 割です。しかも芽を出すのに光が要るので(好光性)、土を厚くかぶせられません。覆土は 5mm。深くすると発芽率が落ちます。2cm 強では 56% まで下がったという実測があります。

薄くかぶせるぶん、種は土の表面近くにあります。少し乾いただけで芽が出なくなります。ニンジンがむずかしいと言われる理由は、ほとんどここに集まっています。

芽がそろえば半分は越えたと言われます。ただし、出てからの 50 日(本葉 7 枚ごろ)で根の長さが決まります。ここで乾かすか肥料を切らすと、短いまま終わります。初期の草取りも効きます。

もうひとつ、根が二股になる「岐根(きこん)」は、まく前の土づくりで決まります。石、砕けていない土のかたまり、分解しきっていない堆肥。根の先がこれらに当たると、そこで曲がります。

難易度
旬 通年
ニンジン(セリ科) — イメージ

写真はイメージです(生成画像)。Sofarm の圃場写真は準備中です。

栽培のめやす

発芽適温
15〜25℃
発芽日数
5〜10日
生育適温
18〜21℃
土壌 pH
6〜6.5
株間・条間
15cm
畝の高さ
25cm
まき深さ
5〜10mm
連作の間隔
1 年

種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。

いつ植えて、いつ収穫する?

作型
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
春まき
秋まき
冬まき
まきどき
▼▼ 植えつけ期
育成(推定)
収穫期

線は旬(上旬・中旬・下旬)単位です。線にカーソルを置くと、資料の期間表記・区分名・出典が出ます。 「育成」は定植から収穫までの間を埋めた推定で、資料に書かれた値ではありません。

育て方

上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。

  1. 土をつくる(ここで二股が決まる)

    • まく 2 週間以上前に、石灰を 1㎡ あたり 100g 入れて耕す
    • その 1 週間後に、完熟堆肥 2kg と有機質肥料 150g を 1㎡ あたり入れる
    • 深さ 20〜25cm まで、よく耕す
    • 石を拾い、土のかたまりはできるだけ砕く。 根の先が当たると、そこで曲がります
    • 分解しきっていない堆肥を入れない。かけらに当たっても同じことが起きます
    • 畝は高さ 25cm 以上。水はけが悪いと、発芽も根の形も崩れます
    • 畝を作る前に、もう一度耕しておくと確実です
  2. まく

    覆土は 5mm。厚くすると芽が出ない

    ニンジンの種は、芽を出すのに光が要ります。ほかの野菜と同じ感覚で土をかぶせると、それだけで出なくなります。

    土のかけ方で、ここまで変わる
    同じ種を、かぶせる土の厚さだけ変えてまいた記録です。断面で見ています。
    5 粒とも芽が出た
    覆土 5mm。種が光を感じられる深さです。かぶせたら手のひらで軽く押さえます。
    5 粒のうち 2 粒だけ
    厚くかぶせると、光が届かず芽が出ません。ほかの野菜と同じ感覚でかけると、これが起きます。
    1cm 弱でも 7 割どまり、2cm を超えると 5 割台まで落ちます。種がうっすら隠れる程度にしてください。
    薄くかけたら、押さえる
    薄くかぶせるということは、種が表面の近くにあるということです。土と密着していないと、水を吸えません。
    1. 深さ 5〜10mm の溝をつける
    2. 種を 1cm 間隔で落とす
    3. 土を 5mm かぶせる
    4. 手のひらかクワの背で軽く押さえる
    5. もみ殻か切りわらを薄くふる
    芽が出るまで 8〜10 日かかります。そのあいだ、表面を乾かさないこと。白く乾き始めたら水をやってください。日に 1〜2 回になることもあります。

    夏にまくときは、種を一晩水に浸してからまきます。種の皮に、発芽を抑える物質があります。
    まく前にやっておくこと
    ・深さ 20〜25cm まで耕す。石を拾い、土のかたまりを砕く
    ・根の先が石やかたまりに当たると、そこで二股になります
    ・分解しきっていない堆肥も同じ。入れるなら早めに、よく混ぜて
    ・畝は高さ 25cm 以上。水はけが悪いと、発芽も根の形も崩れます
    • 深さ 5〜10mm の溝に、1cm 間隔で条まき。条間 15cm
    • 覆土は 5mm。 芽を出すのに光が要るので、厚くかぶせると出ません
    • かぶせたら、手のひらかクワの背で軽く押さえる。種と土を密着させます
    • 夏にまくなら、種を一晩水に浸し、べとつかない程度に陰干ししてからまく。種の皮に発芽を抑える物質があります
    • 春にまくなら、ビニールトンネルで保温する。芽が出たあとは、中が 25℃ を超えたら換気してください
  3. 芽が出るまで乾かさない(この野菜の山場)

    • 表面が白く乾き始めたら、水をやる。 日に 1〜2 回になることもあります
    • もみ殻、切りわら、干し草を薄くふっておくと、乾きがゆるみます
    • 不織布をかけるのも手ですが、暑い時期は中が蒸れて逆効果になることがあります
    • 雨のタイミングに合わせてまくのが、いちばん現実的です
    • 芽が 3 割ほど出たら、敷いたものを取り除く
  4. 間引く(2 回)

    • 1 回目は本葉 2〜3 枚のころ
    • 2 回目は本葉 5〜6 枚までに。ここで 1 本立ちにする
    • 最終的な株間は 10〜12cm(ミニの品種は 6〜8cm)
    • 1 回目の間引きと同時に、草を取る
    • 間引いた葉も食べられます
  5. 追肥して、土を寄せる

    • 1 本に絞るときに 1 回。1㎡ あたり 60g
    • 追肥したら、根の首が隠れるまで土を寄せる。 出たままだと首が緑になります
    • 肥料が切れると、下の葉から枯れてきます
  6. 草に負けさせない

    • 芽が出てからしばらく、ニンジンは驚くほどゆっくり育ちます
    • そのあいだに草が勝つと、もう追いつけません
    • 間引きのたびに取る
  7. 穫る

    • 首のあたりが張ってきたら
    • 穫り遅れると根が割れます。 寒い時期なら多少は待てますが、割れる前に

ここだけは押さえたい

1. 覆土は 5mm。厚くしない
ニンジンの種は、芽を出すのに光が要ります。深くかぶせると出ません。2cm 強では 56% まで落ちたという実測があります。

2. まいたら押さえる
薄くかぶせるぶん、種と土が密着していないと水を吸えません。手のひらかクワの背で軽く押さえてください。

3. 芽が出るまで乾かさない
種が土の表面近くにあるので、少し乾いただけで出なくなります。表面が白く乾き始めたら水をやってください。雨のタイミングに合わせてまくのが、いちばん現実的です。

4. 石とゴロ土を取り除く
根の先が当たると、そこで二股になります。深さ 20〜25cm までよく耕して、石を拾い、かたまりを砕いてください。分解しきっていない堆肥も同じです。

5. 出てからの 50 日が根の長さを決める
本葉 7 枚ごろまでです。ここで乾かすか肥料を切らすと、短いまま終わります。

6. 本葉 5〜6 枚までに 1 本立ちにする
遅れると根が太りません。株間は 10〜12cm、ミニで 6〜8cm。

7. 初期の草を取る
芽が出てからしばらく、ニンジンはゆっくりしか育ちません。そのあいだに草が勝つと追いつけません。間引きのたびに取ってください。

8. 追肥のあとは土を寄せる
根の首が出たままだと緑になります。追肥と土寄せはひと組です。

9. 本葉 3〜5 枚のころに寒さに当てない
このころに 10℃ 以下にあうと花芽ができます。春の早まきと、秋の遅まきに気をつけてください。

農薬を使わないと、ここが難しい

うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。

  • 初期の草 — 生育がゆっくりなので、草に負けます。農薬を使う一般の栽培では、まいた翌日に除草剤をまきます。無農薬では手で取るしかありません
  • ネキリムシ — 芽が出てすぐの苗を、株元から食い切って倒します。朝に倒れた株を見つけたら、まわりの土を掘ると幼虫がいます(→ネキリムシ類)
  • ネコブセンチュウ — 根にコブができて、二股の原因にもなります。生育中は気づけません。センチュウを減らす働きのある植物(マリーゴールドや緑肥用のエンバク)を先に育てておく手がありますが、ニンジンでどれだけ減るかは Sofarm でこれから測ります
  • キアゲハの幼虫 — 秋に葉を食べます。大きくて目立つので、見回って捕るのが確実です
  • アブラムシ — 新芽や芯の葉につき、ウイルス病を運びます。畑のまわりの草を取っておくと減ります(→アブラムシ類)
  • 黒葉枯病・軟腐病 — 出てから無農薬で止める手はありません。できるのは、密植を避け、肥料を切らさず、水はけをよくすることまでです(→軟腐病)

種を買う

ニンジン の品種ごとの紹介は準備中です。まずは品目で探せるようにしています。

出やすい病害虫

ニンジンで報告が多いものです。全部が毎年出るわけではありません。 名前を押すと、見分け方と農薬を使わない対処が読めます。

病気

風通しと水はけで出方が変わります

病害虫の一覧を見る

よくある質問

芽が出ませんでした。

ニンジンでいちばん多い失敗です。原因はだいたい 3 つに絞れます。

ひとつめは土をかぶせすぎ。 ニンジンの種は芽を出すのに光が要るので、覆土は 5mmです。2cm 強かぶせたら発芽率が 56% まで落ちたという実測があります。種がうっすら隠れる程度にしてください。

ふたつめは乾燥。 薄くかぶせるぶん、種は土の表面近くにあります。少し乾いただけで出ません。表面が白く乾き始めたら水をやる。 日に 1〜2 回になることもあります。もみ殻や切りわらを薄くふっておくと楽です。

みっつめは待ち足りない。 芽が出るまで 8〜10 日かかります。10℃ では 14 日、5℃ では 30 日以上です。ほかの野菜の感覚で見切らないでください。

雨のタイミングに合わせてまくのが、いちばん確実です。

根が二股になりました。曲がっています。

まく前の土づくりです。 根の先が、石、砕けていない土のかたまり、分解しきっていない堆肥のかけらに当たると、そこで曲がります。

深さ 20〜25cm までよく耕して、石を拾い、かたまりを砕いてください。 畝を作る前にもう一度耕しておくと確実です。堆肥を入れるなら早めに、よく混ぜてから。

根にコブができてゴツゴツしている場合は、ネコブセンチュウです。こちらは土づくりでは防げません。

根が太りません。短いままです。

間引きが遅れたか、生育の前半で乾かしたか肥料を切らしたかです。

本葉 5〜6 枚までに 1 本立ちにしてください。株間は 10〜12cm(ミニの品種は 6〜8cm)です。

もうひとつ、芽が出てからの 50 日(本葉 7 枚ごろ)で根の長さが決まります。この時期に乾かすか肥料を切らすと、そのまま短く終わります。あとから取り返せません。

根の首が緑になりました。

土寄せが足りません。追肥したら、根の首が隠れるまで土を寄せてください。 出たままだと日に当たって緑になります。

味に大きな問題はありませんが、見た目が落ちます。

根が割れました。

穫り遅れです。首のあたりが張ってきたら穫ってください。 寒い時期なら多少は待てますが、置きすぎると割れます。

生育の後半まで肥料が残りすぎているときにも割れやすくなります。

草に埋もれてしまいました。

ニンジンは、芽が出てからしばらく驚くほどゆっくり育ちます。そのあいだに草が勝つと、もう追いつけません。

1 回目の間引きと同時に草を取ってください。 そのあとも、間引きのたびに。無農薬では、ここは手で取るしかありません。

春にまいたら花が咲きました。

とう立ちです。この野菜は、本葉 3〜5 枚まで育った株が 10℃ 以下にしばらくあうと花芽をつくります。種のうちは反応しません。

つまり、苗がその大きさのときに寒さに当たったということです。春の早まきと、秋の遅まきで起きます。春にまくならビニールトンネルで保温してください。

葉に大きな青虫がついています。

キアゲハの幼虫です。秋に葉を食べます。緑地に黒の横縞と橙色の点が入った、目立つ姿です。

大きいので見つけやすく、見回って取るのが確実です。数が少なければ、放っておいても根の太りには響きません。

間引いた葉は食べられますか?

食べられます。やわらかくて香りがよいので、かき揚げや炒めものに使ってください。

プランターで作れますか?

できます。ただし深さがいります。ミニの品種(根の長さ 10cm ほど)を選んで、深さ 25cm 以上のものを使ってください。

五寸のような普通の品種は、プランターでは根が底に当たって曲がります。