ホウレンソウ
Spinachヒユ科(アカザ科)。ほかの葉物とは、作り方の勘所がはっきり違います。
いちばん違うのは、酸性の土に極端に弱いこと。pH が 5.5 を下回ると、ほとんど育たず、枯れることもあります。日本の畑は雨でだんだん酸性に傾くので、ここを直さずにまくと、何をしても育ちません。「芽は出たのに大きくならない」の多くは、これです。
もうひとつは、芽がそろわないこと。ホウレンソウの種は水を吸うのに時間がかかります。まき溝の深さと覆土をそろえて、まいたら押さえる。これが効きます。暑い時期にまくなら、種を先に水に浸して根を出させておく「芽出し」をしてからまきます。
そして とう立ちの仕組みがほかの葉物と違います。アブラナ科の葉物は寒さに反応しますが、ホウレンソウは日が長くなることで花芽をつくり、暑いほど早く伸びます。だから春から初夏にかけてが危ない時期で、この時期は「とう立ちの遅い品種」を選ぶのが答えです。
寒さには強く、氷点下でも枯れません。霜に当てると甘くなります。秋にまいて冬に穫るのが、いちばん作りやすく、いちばんおいしい作り方です。
写真はイメージです(生成画像)。Sofarm の圃場写真は準備中です。
栽培のめやす
- 発芽適温
- 15〜20℃
- 発芽日数
- 5〜7日
- 生育適温
- 10〜20℃
- 土壌 pH
- 6.5〜7
- 条間
- 15cm
- 畝幅・畝間
- 60cm
- 畝の高さ
- 10cm
- まき深さ
- 1〜1.5cm
- 株間
- 5〜6cm
- 連作の間隔
- 1 年
種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。
育て方
上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。
-
品種を選ぶ
- 日が長くなる時期にまくなら、「とう立ちが遅い」と書かれた品種を選ぶ
- べと病に強い品種を選ぶと、無農薬ではかなり楽になります
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土をつくる(ここを省くと育ちません)
酸性の土では育ちません
ホウレンソウは、ほかの葉物よりはっきり酸性に弱い野菜です。「芽は出たのに大きくならない」のほとんどは、ここが原因です。
土の酸性度と、育ちかた日本の畑は、雨でだんだん酸性に傾きます。石灰で直さずにまくと、何をしても育ちません。
同じ種を、土の酸性度だけ変えて育てたときの育ち方です。「芽は出たのに大きくならない」のほとんどは、ここが原因です。石灰は 1㎡ あたり 150g。まく 2 週間以上前に入れて、深く耕します。ほかの野菜(100g)より多めです。牡蠣殻などの有機石灰は効きがゆるやかなので、もっと早めに。
スギナがよく生える畑は、酸性が強いと思ってください。暑い時期にまくなら、芽出しをするホウレンソウの種は水を吸うのに時間がかかります。25℃ を超えると、そのうえ発芽が悪くなります。1. 種を水に一昼夜浸す2. 水を切って、湿らせた布に包み、袋に入れる3. 冷蔵庫に 2〜4 日4. 白い根が 1mm ほど出た種が 1 割くらいになったら、取り出してまく芽出しをした種は乾燥に弱いので、まいたあと畑を乾かさないでください。
「種子加工ずみ」と書かれた種は、この処理はいりません。芽をそろえる 3 つ・まき溝の底を平らにならす。深さがばらつくと、芽の出かたもばらつきます・覆土は 1cm。そろえてかける・かぶせたら押さえる。種と土を密着させます- まく 2 週間以上前に、石灰を 1㎡ あたり 150g 入れて深く耕す
- pH 6.5〜7.0 に合わせる。5.5 を下回ると、ほとんど育ちません
- スギナがよく生える畑は、酸性が強いと思ってください
- まく 1 週間前までに、完熟堆肥 2kg と有機質肥料 300g を 1㎡ あたり
- 未熟な有機物を入れない。芽や根を傷めます
- 幅 60cm・高さ 10cm の畝を立てる
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暑い時期にまくなら、芽出しをする
- 種を水に一昼夜浸す
- 水を切って、湿らせた布やキッチンペーパーに包み、袋に入れて冷蔵庫に 2〜4 日
- 白い根が 1mm ほど出た種が 1 割くらいになったら、取り出してまく
- 芽出しをした種は乾燥に弱いので、まいたあと畑を乾かさないこと
- 「種子加工ずみ」と書かれた種は、この処理はいりません
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まく
- 深さ 1〜1.5cm の溝に、1〜2cm 間隔で条まき。条間 15cm
- 溝の底を平らにならす。 深さがばらつくと、芽の出かたもばらつきます
- 覆土は 1cm
- かぶせたら押さえる。 まき溝と覆土の深さをそろえることと、この「押さえ」が、芽をそろえる要です
- 切りわらを薄くかけておく
- 暑い時期は、芽が出るまで遮光の資材をかける
-
芽が出たらネットをかける
- 防虫ネットをトンネル状にかける。不織布や寒冷紗でもかまいません
- アブラムシとヨトウムシを入れないためです
- 裾は 10cm ほど外にはみ出させて、はみ出した部分すべてに土をかぶせる
-
水のやり方を切り替える
- 芽が出るまでは乾かさない
- 芽が出てから本葉 4 枚までは、やりすぎない。 過湿は立枯病を呼びます
- 草丈 10cm を過ぎたら控えめに。控えめにすると葉の色が濃くなります
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間引く
- 1 回目は本葉 1〜2 枚で、株間 3cm
- 2 回目は本葉 3〜4 枚で、株間 5〜6cm
- 混みあったままだと、べと病が出やすくなります
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追肥して土を寄せる
- 2 回目の間引きのあとに 1 回。1㎡ あたり 130g
- 条間にばらまいて、軽く耕して株元に土を寄せる
- 葉に肥料をかけない
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穫る
- 草丈 20〜25cm になったら
- 抜かずに、株元をハサミで切る。 抜くと葉が折れ、隣の株も傷みます
- 大きくなったものから順に
- 春まき・夏まきは、とう立ちする前に早めに
ここだけは押さえたい
1. 石灰を省かない
この野菜は酸性にとくに弱く、pH が 5.5 を下回るとほとんど育ちません。1㎡ あたり 150g、まく 2 週間以上前に。ほかの野菜より多めです。
2. 日が長くなる時期は、とう立ちの遅い品種を選ぶ
ホウレンソウは寒さではなく日の長さで花芽をつくり、暑いほど早く伸びます。アブラナ科の葉物とは仕組みが違うので、「早まきしない」では避けられません。品種で選んでください。
3. まき溝をそろえて、まいたら押さえる
種が水を吸いにくい野菜です。深さと覆土がばらつくと、そのまま芽の出かたがばらつきます。
4. 暑い時期にまくなら芽出しをする
25℃ を超えると発芽が悪くなります。水に一昼夜浸してから冷蔵庫で 2〜4 日、白い根が見え始めたらまいてください。
5. 芽が出たら、水をやりすぎない
発芽までは乾かさない、出てからは控えめに。本葉 4 枚までの過湿は立枯病を呼びます。
6. 混ませない
べと病は、窒素が多いときと混みすぎたときに出やすくなります。間引きを遅らせないでください。
7. 抜かずに切って穫る
株元をハサミで切ります。抜くと葉が折れて、隣の株の根も動きます。
8. 霜に当ててから穫る
寒さに当たると甘みが増します。秋にまいて冬に穫るのが、いちばんおいしい作り方です。
農薬を使わないと、ここが難しい
うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。
- べと病 — この野菜でいちばん出る病気です。葉の表に黄白色の斑点が出て、裏にねずみ色の粉状のカビがつきます。べと病に強い品種を選ぶのがいちばん効きます。そのうえで、窒素を効かせすぎない、混ませない、水はけをよくする、出た株は畑の外へ。ただし菌には何種類もの型があり、新しい型が出ると、強い品種でもかかることがあります(→べと病)
- 萎凋病 — 連作で土にたまります。株がしおれて枯れます。産地では、カラシナなどを畑にすき込んでビニールで 3〜4 週間覆い、菌を減らす方法がありますが、量も手間も家庭菜園向きではありません。出てから無農薬で治す手はありません。できるのは、萎凋病の出る夏に作らず、秋まき中心に回すことまでです
- 立枯病 — 芽が出てから本葉 4 枚までの過湿で出ます。水のやり方で防ぎます
- ホウレンソウケナガコナダニ — 土のなかで増えて、新芽に入り込み、葉が奇形になります。芽が出る前に畝を防草シートで覆って土を乾かすと初期は減らせますが、生育の後半を無農薬で抑える手はまだありません。Sofarm でこれから確かめます
- アブラムシ — 芽が出たらネットをかけて、入れないのが基本です(→アブラムシ類)
- ネキリムシ — 有機物に集まる虫です。堆肥をまき溝から離して、下のほうに埋めておくと減ります(→ネキリムシ類)
- ヨトウムシ — 卵はかたまりで産みつけられ、若いうちは集団でいます。その葉ごと取れば済みます。ネットをかけておけば、成虫に産みつけられません(→ヨトウムシ類)
よくある質問
芽は出たのに、大きくなりません。
土が酸性になっている可能性がいちばん高いです。
ホウレンソウはほかの葉物とくらべて、はっきり酸性に弱い野菜です。pH が 5.5 を下回ると、ほとんど育たず、枯れることもあります。 日本の畑は雨でだんだん酸性に傾くので、石灰で直さずにまくと、何をしても育ちません。
まく 2 週間以上前に、石灰を 1㎡ あたり 150g。 ほかの野菜(100g)より多めです。牡蠣殻などの有機石灰に替えるなら、アルカリ分が低いぶん量を増やして(袋の表示で合わせて)、もっと早めに入れてください。
スギナがよく生える畑は、酸性が強いと思ってください。
芽が出ません。まばらにしか出ません。
ホウレンソウの種は水を吸うのに時間がかかるので、もともとそろいにくい野菜です。効くのは 3 つ。
まき溝の底を平らにならす。 深さがばらつくと、そのまま芽の出かたがばらつきます。
覆土を 1cm にそろえる。
かぶせたら押さえる。 種と土を密着させます。
暑い時期なら、これに加えて芽出しをしてからまいてください。
芽出しって、どうやるのですか?
25℃ を超えると発芽が悪くなるので、暑い時期はこの下ごしらえをします。
- 種を水に一昼夜浸す
- 水を切って、湿らせた布やキッチンペーパーに包み、袋に入れる
- 冷蔵庫に 2〜4 日
- 白い根が 1mm ほど出た種が 1 割くらいになったら、取り出してまく
芽出しをした種は乾燥に弱いので、まいたあと畑を乾かさないでください。「種子加工ずみ」と書かれた種は、この処理はいりません。
春にまいたら花が咲きました。
とう立ちです。ただし仕組みがほかの葉物と違います。
アブラナ科の葉物(コマツナやチンゲンサイ)は寒さに反応しますが、ホウレンソウは日が長くなることで花芽をつくり、暑いほど早く伸びます。日の長さが 13 時間を超えるころが危ないところです。
つまり「早まきしない」では避けられません。日が長くなる時期にまくなら、「とう立ちが遅い」と書かれた品種を選んでください。
葉の裏に灰色のカビが出ました。表には黄色い斑点があります。
べと病です。この野菜でいちばん出る病気です。
いちばん効くのは、べと病に強い品種を選ぶこと。 そのうえで、窒素を効かせすぎない、混みすぎないよう間引きを遅らせない、水はけをよくする、出た株は畑の外へ。
ただし菌には何種類もの型があり、新しい型が出ると、強い品種でもかかることがあります。
芽は出たのに、地際で倒れました。
立枯病です。芽が出てから本葉 4 枚までの、水のやりすぎで起きます。
発芽までは乾かさない、出てからは控えめに。水のやり方を途中で切り替えてください。
新芽が縮れて、形がおかしくなりました。
ホウレンソウケナガコナダニです。土のなかで増えて、新芽に入り込みます。
芽が出る前に畝を防草シートで覆って土を乾かすと初期は減らせますが、生育の後半を無農薬で抑える手は、まだ見つかっていません。
いつ穫ればいいですか? 抜くのですか、切るのですか?
草丈 20〜25cm になったら。大きくなったものから順に穫ります。
抜かずに、株元をハサミで切ってください。 抜くと葉が折れますし、隣の株の根まで動きます。
春まき・夏まきは、とう立ちする前に早めに。
アク抜きはどうするのですか?
アクに含まれるシュウ酸がカルシウムの吸収をさまたげるので、さっとゆでてから調理してください。
霜に当てても大丈夫ですか?
大丈夫どころか、当てたほうが甘くなります。氷点下 10℃ でも枯れません。秋にまいて冬に穫るのが、いちばん作りやすく、いちばんおいしい作り方です。
プランターで作れますか?
できます。生育期間が短いので、浅型でも作れます。
ただし酸性の矯正だけは省けません。市販の野菜用培養土なら調整済みのものが多いので、そちらを使うのが確実です。