FRUIT · イネ科

トウモロコシ

Corn

イネ科。穫れたてと店で買ったもので、おいしさの差がとくに大きい野菜です。収穫して時間が経つほど甘みが落ちるので、自分で作る意味がはっきりしています。

育てること自体は難しくありません。間引いて、追肥して、土を寄せる。それだけです。
難しいのは 粒がそろうかどうか。ここだけは、ほかの野菜と考え方がまったく違います。

トウモロコシは風で花粉を飛ばして受粉します。てっぺんの穂(雄穂)から落ちた花粉が、茎の途中につく実(雌穂)のひげにつきます。ひげ 1 本が粒 1 つにつながっているので、花粉がつかなかったひげのぶんだけ、粒が抜けます。

だから、植え方で実入りが決まります。1 列に並べると花粉が風に流れて隣にかからず、歯抜けになります。四角くまとめて植える。これがこの野菜でいちばん大事なことです。

難易度
旬 夏
トウモロコシ(イネ科)

栽培のめやす

発芽適温
20〜28℃
発芽日数
9日
生育適温
22〜30℃
土壌 pH
6〜6.5
株間・条間
30cm
畝幅・畝間
90cm
まき深さ
2〜3cm
連作の間隔
あけなくてよい
植えつけの目安

本葉 3〜4 枚

種苗会社や公的機関の資料にある数値をまとめたものです。品種や地域で前後します。

いつ植えて、いつ収穫する?

作型
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
スイートコーン露地栽培
春まき
じかまき露地マルチ栽培
まきどき
▼▼ 植えつけ期
育成(推定)
収穫期

線は旬(上旬・中旬・下旬)単位です。線にカーソルを置くと、資料の期間表記・区分名・出典が出ます。 「育成」は定植から収穫までの間を埋めた推定で、資料に書かれた値ではありません。

育て方

上から順に進めれば育てられます。時期は地域で変わるので、育成カレンダーで確かめてください。

  1. 土をつくる

    • 水はけのよい場所を選んで、深く耕す
    • 完熟堆肥をしっかり入れる。トウモロコシは肥料を吸う力が強いので、元肥は多めでよい
    • 幅 90cm の畝を立てて、マルチを張る
  2. まく・植える

    1 列に植えない。四角くまとめる

    トウモロコシは風で花粉を飛ばして受粉します。ひげ 1 本が粒 1 つにつながっているので、花粉がつかなかったぶんだけ粒が抜けます。畑を真上から見た図です。

    こうすると歯抜けになる
    細長く 1 列に並べると、花粉が風に乗ってそのまま畑の外へ出ていきます。
    花粉が畑の外へ流れていく
    こう植える
    2 列以上にして、正方形に近い形にまとめます。株数が同じでも実入りが変わります。
    どの株にも、隣から花粉が届く
    • 地温 14℃を確認してから(地温計を土に差して測る)。春先に気温だけ見てまくと、発芽せずに種が腐ります
    • 直まきなら 1 か所に 3〜4 粒、深さ 2〜3cm
    • ポットで育てるなら 20〜30 日、本葉 3〜4 枚で植える。大きくしすぎない
    • 1 列に並べない。2 列以上にして、四角くまとまるように植える
    • 違う品種を近くで作らない。 花粉が混ざると粒が硬くなったり色が変わったりする
  3. 鳥から守る

    • まいたら、芽が出るまで網や不織布で覆う。 ハトとカラスに種を掘られます
    • ポットで育てるときも、防虫ネットをかけておく
    • 実がふくらみ始める前に、釣り糸を張る。 収穫前に実を狙われます
  4. 間引く

    • 本葉 3〜4 枚のとき、いちばん元気な 1 本を残す
    • 抜かずにハサミで根元を切る。 抜くと残す株の根が切れます
  5. わき芽(分げつ)は取らない

    • 株元からわき芽が出るが、そのままにする
    • 葉と根が増えて倒れにくくなり、花粉も増える
    • あまりに多ければ 2〜3 本残して整理する程度で十分
  6. 追肥して土を寄せる

    • 草丈 40〜50cm になったらマルチをはいで、1 回目の追肥と土寄せ
    • 2 回目は、てっぺんに穂が見え始めたころ。ここで効かせると粒が入る
    • 土寄せ(株元に土を盛ること)で根が張り、倒れにくくなる
  7. 雄穂を切る・受粉を助ける

    • 株数があれば、放っておいても風で受粉する
    • 花粉が出終わったら、てっぺんの雄穂を切る。倒れにくくなり、アワノメイガ(茎や実に入るガの幼虫)の被害も減る
    • アワノメイガ対策で早めに切るときは、切った雄穂をひげに直接こすりつけて受粉させる
    • 受粉できたかどうかは、そのあとの粒の入り方で分かる。ひげの色では判断しない
  8. 水を切らさない

    • ひげが出てから収穫までは乾かさない。 ここで乾くと粒が太りません
    • 乾いていたら株元か通路に水をやる
  9. 穫る

    • ひげが出てから 20〜25 日。ひげがこげ茶色になったころ
    • 最後は皮を少しむいて、粒の色と詰まり具合を確かめる。これがいちばん確実です
    • 朝のうちに穫る。 常温では穫って 5〜6 時間で甘みが落ち始めます
    • すぐ食べないなら、皮をつけたまま冷蔵庫の野菜室へ。1〜2 日のうちに

ここだけは押さえたい

1. 1 列に植えない
これがこの野菜でいちばん大事です。風で受粉するので、1 列だと花粉が流れて歯抜けになります。2 列以上にして、四角くまとめて植えてください。

2. 地温 14℃を待つ
気温ではなく地温です。これ以下でまくと発芽せず、土の中で種が腐ります。春先は焦らないでください。

3. 分げつは取らない
株元のわき芽は、取らないほうがよく育ちます。葉と根が増えて倒れにくくなり、花粉も増えます。

4. 苗を大きくしすぎない
ポットで育てるなら本葉 3〜4 枚まで。ポットの中で根がいっぱいになった苗を植えると、根づきが悪く、背の低いまま穂が出ます。

5. 違う品種を近くで作らない
違う品種の花粉がつくと、粒が硬くなったり色が変わったりします。家庭菜園で十分な距離を取るのは難しいので、作る時期をずらすか、1 種類に絞ってください。

6. ひげが出たら水を切らさない
ここで乾くと、先端まで粒が入りません。

7. 穫りどきは「ひげが出てから 20〜25 日」
ひげがこげ茶色になったら、皮を少しむいて粒を確かめてください。ひげの色だけで決めず、中を見るのが確実です。

8. 朝に穫る
穫った瞬間から甘みが落ちていきます。食べる直前に穫るのがいちばんのごちそうです。

農薬を使わないと、ここが難しい

うまくいかないことも先に書いておきます。知っていれば、打つ手の順番が変わります。

  • アワノメイガ — 幼虫が茎や実の中に入ると、農薬でも届きません。無農薬でできるのは、雄穂を早めに切る、食われたところを切り裂いて取り出す、卵を見回る。どれも手作業なので、株数が増えると手が回らなくなります
  • 防虫ネットと受粉の両立 — この野菜は風で受粉するので、穂が出るころにネットをかけ続けると花粉の行き来を邪魔します。いつ外せばよいかの手順は、資料からは取れていません
  • 鳥と動物 — まいた種、出たばかりの芽、ふくらみ始めた実と、三度狙われます。網と釣り糸で防ぎますが、土を掘って入る動物への手だては資料にありません
  • キセニア — 近所に別の品種があると、こちらが何をしても粒が硬くなります。市民農園や借りている区画では、隣の作付けを選べません

種を買う

トウモロコシ の品種ごとの紹介は準備中です。まずは品目で探せるようにしています。

出やすい病害虫

トウモロコシで報告が多いものです。全部が毎年出るわけではありません。 名前を押すと、見分け方と農薬を使わない対処が読めます。

病気

風通しと水はけで出方が変わります
紋枯病
種子の腐敗・発芽後の立ち枯れ(低温期播種)
倒伏細菌病・褐色腐敗病

病害虫の一覧を見る

よくある質問

粒が歯抜けになりました。

植え方が原因です。トウモロコシは風で花粉を飛ばして受粉し、ひげ 1 本が粒 1 つにつながっています。1 列に並べると花粉が風に流れて隣にかからず、受粉できなかったぶんだけ粒が抜けます。次は 2 列以上にして、四角くまとまるように植えてください。株数が少ないときは、咲いた雄穂をひげに直接こすりつけると確実です。

先端まで粒が入りません。

ひげが出てから収穫までに水が足りなかったことが多いです。この時期に乾くと、先端まで実が太りません。乾いていたら株元か通路に水をやってください。あわせて、2 回目の追肥を穂が見え始めたころに入れると効きます。

株元から出ているわき芽は取るべきですか?

取らないでください。 残したほうが葉と根が増えて倒れにくくなり、花粉も増えて実入りがよくなります。あまりに多いときだけ、2〜3 本残して整理する程度で十分です。

2 本目の実は取ったほうがいいですか?

取らなくて構いません。1 本に絞る流儀もありますが、取るときに株を傷めるほうが損になりがちです。取るなら、小さいうちに取ってヤングコーンとして食べてください。

いつ穫ればいいですか?

ひげが出てから 20〜25 日。ひげがこげ茶色になったころが目安です。最後は皮を少しむいて、粒の色と詰まり具合を確かめてください。これがいちばん確実です。穫るのは朝のうちに。常温では穫って 5〜6 時間で甘みが落ち始めます。

違う品種を一緒に作ってもいいですか?

やめたほうがよいです。別の品種の花粉がつくと、粒が硬くなったり色が変わったりします。十分な距離を取るのは家庭菜園では難しいので、作る時期をずらすか、1 種類に絞ってください。

芽が出ませんでした。

地温が足りなかった可能性が高いです。トウモロコシは地温 14℃ 以下ではまともに発芽せず、そのあいだに土の中で種が腐ります。気温ではなく地温を測ってからまいてください。鳥に掘られていることもあるので、まいたら芽が出るまで網で覆っておくと安心です。