タネバエ・タマネギバエ
ハエの幼虫(ウジ)が、まいた種や植えた球、苗の地際を食べる虫です。タマネギとニンニクに出ます。
この相手のいやらしさは、地上に何も出ないことです。芽が出てこない、出てもすぐ枯れる、株がぽつぽつ抜けている。種が悪かったのか、水が足りなかったのか、寒かったのか。そう考えているうちに作が終わります。掘ってはじめて、球の中に白いウジがいると分かります。
もうひとつ大事なことがあります。この虫を呼ぶものは、はっきりしています。分解しきっていない有機物です。 未熟な堆肥や有機質肥料のにおいに親バエが集まり、その近くに産みます。つまりこれは、虫を追う話ではなく、畑に何をいつ入れるかという話です。
見分け方
- まいた種が出てこない。植えた球から芽が出ない
- 出た芽が、地際からしおれて倒れる。葉の色が抜けて黄ばむ
- 株がぽつぽつ抜けるように枯れる。畝の一部にかたまることが多い
- 掘って球を割ると、白くて足のない 1cm 弱のウジが何匹も入っている。 球は溶けたように腐り、すっぱいようなにおいがします
- 抜いた株の地際が、ぐずぐずに崩れている
出やすい条件
- 植えつけ・種まきの直後。 タマネギの秋まきでは、まいてからしばらくのあいだ
- 未熟な堆肥や有機質肥料を、まく直前に入れたとき。 これが最大の呼び水です
- 球や苗に傷があるとき。傷んだところのにおいに寄ってきます
- 前の作の残りかすが、分解しきらずに畑に残っているとき
- 土が湿っているとき
出さないために
- 未熟な堆肥を使わない。 完熟したものを使ってください
- 堆肥と有機質肥料は、植えつけの 2 か月前までに入れる。 このページでいちばん大事なところです。分解が進んでにおいが落ち着いてから植えれば、親バエは寄ってきません。「入れてすぐ植える」をやめるだけで、ほとんど防げます
- 前の作の残りかすを片づけてから耕す。 すき込んだばかりのところに植えない
- 傷んだ球・傷のついた球を植えない。 傷のにおいが呼びます
- 植えつけ・種まきの直後にネットをかける。 親バエが産みに来るのを止めます。裾を土で押さえてください
出てしまったら
- その株は戻りません。 抜いて、球ごと畑の外へ出してください。中のウジを土に残すと、次の世代になります
- 抜けたところへ植え直すなら、まわりの土も一度さらってからにしてください
- ほかの株も、抜けているところを掘って確かめる。かたまって出ます
- 薬を探すより、入れた有機物を思い出してください。 植える直前に堆肥を入れていたなら、それが原因です。次はそこを変えます
- 残った株に効く手はないので、無事なものを育てることに切り替えてください
まちがえやすいもの
- 苗立枯病 — 地際が細くくびれて倒れますが、ウジはいません。掘って確かめるのが確実です
- ネキリムシ — 茎がきれいに切られています。球の中には入りません
- 軟腐病 — どろどろに溶けて、強い悪臭がします。タネバエの被害でも腐りますが、割れば虫がいます
- 発芽不良(低温・乾燥) — 種がそのまま残っています。食われていません
- イモグサレセンチュウ(ニンニク) — りん片がコルク状に褐変します。目に見える虫は入っていません
よくある質問
まいたタマネギの芽が出ません。種が悪かったのでしょうか。
掘って確かめてください。種や球を割って、白くて足のない 1cm 弱のウジが入っていれば、タネバエです。種のせいではありません。地上を見ているだけでは分からない相手なので、抜けたところを掘るのがいちばん早い確認です。
堆肥はいつ入れればいいですか?
植えつけの 2 か月前までです。 分解が進んでにおいが落ち着いてから植えれば、親バエは寄ってきません。入れてすぐ植えるのが、この虫をいちばん呼びます。どうしても直前にしか入れられないなら、完熟したものを使って、量を控えてください。
抜けたところに植え直してもいいですか?
植え直して構いませんが、まわりの土を一度さらってからにしてください。抜いた株の中に残ったウジが、そのまま次の株に移ります。抜いた株は球ごと畑の外へ出してください。
ニンニクの球が中から腐っていました。
割ってみて、白いウジがいればタネバエです。目に見える虫がおらず、りん片がコルクのように褐色になっているなら、イモグサレセンチュウのほうです。見分けがつけば、次の年の手が変わります。ウジなら堆肥の入れ方、センチュウなら種球と輪作の話になります。